前作と比べ観賞者の評価が下がる理由は、一作めは喰種と人間の生存理由が拮抗して緊張感最高潮だったのが（金木くんと亜門のバトル最高だったな…）
今作は双方歩み寄りだったからなのかな……
それでも見所はそこここにありました。
原作（未読ですが）の月山習が魅力的過ぎるのでしょうが、
原作作品が長編になればなるほど過激な描写からの快楽が病みつきになりがちなのだろうから実写化のハードルも上がり続けるのだろうな。。
月山というキャラクターに引っ張られ過ぎて、松田翔太という個性が自由度を失ってしまった結果をご査収くださいという印象。
大河ドラマ‘平清盛’で見た松田翔太さんの奥行きは本当に魅力的だったので、ナルシストぶりだけでなくその奥の奥も表現できる役者さんなのですよね…実に。
だからこその。細やかな感情表現を積み重ねる時間が欲しかった。
それを受ける窪田正孝さんの受けの妙を見たかった。
グロい場面ばかりが増えれば支持はされるだろうけど、おそらく本当に描きたい金木くんの苦悩からはどんどん遠ざかる気がするし、ニシキ先輩とさきさんの場面、トーカちゃんと依子の場面を丁寧に入れたから金木くんの内面も浮き上がる様になっていて。
自分はとても好きでした。
最期のバトルシーンは予定調和的（ワイヤーありきになってしまっている）なので、もっと役者さんを信じて感情の発露を長まわしした方が良かったです。。
カグネの美しさは充分感じられたし。
そのくらい、役者陣皆いい表情だった…勿体ない…
闘う場面ばかりでなくとも、演技の細かな積み重ねで魅せられる演者さん達だったので、映画制作って本当に難しいと思いました。
作っているときに何かが降りてくる
ってこと、あるのだろうな。
今作では降りきっていなかったのかもしれない。
もしくはいま日本映画に求められがちなアクションをどうしても入れ込まなきゃならない事情が勝ってしまうのか。
窪田正孝さん、松田翔太さん双方舞台等でも鍛えられていると思うので、金木と月山の共通項が読書なのならば、ことばの美しさや駆け引きで魅せても充分に成り立ちそうだな…と勝手に思わせていただきました。
ことばの選びかた次第では、映倫に引っかからずとも官能的に仕上げることもできたのではないか。
実写化とは原作どおりに物語を紡ぐことではありません、と声を大にして言っていきたい………！
