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アド・アストラのDTAKのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
1.5
【全く収支が合わないヘボ作品】

実にとっちらかったフィルムだった。

「全ての描写に意味があるべき」とは思わないけど
初期設定だけモリモリで、詰めが甘いだけの何にもない映画。
まだNETFLIXのオリジナルB級SFの方がマシ。

トミーリージョーンズ、ドナルドサザーランドという『スペースカウボーイ』ファンとしては垂涎。
(一部スチール写真にもスペースカウボーイ時の写真が使われてる)

そこにリヴタイラー、主人公にブラピとなれば、
世代が世代ならこれはド直球。
動画メッセージでリブタイラーが訴えかけてるとこなんてこれ『アルマゲドン』やん!てなる。


でもなー、これ、クソ映画だったわ。


なにか、いろいろこれまでのSF映画をヴィジュアルだとか脚本だとか
継ぎ接ぎししまくっただけで、ストーリーが瓦解しちゃってる。

SFというより、ブラピの内面を描こうとしてのはわかるけど
これは描写不足。他のノイズが多すぎる。

そもそもトミーリージョーンズが生きているという根拠が薄すぎる。
そのために息子であるブラピを火星に送るってのがよくわからん。
メッセージ録音だけなら地球でもよくない?なんで火星で?

ブラピが地球→月→船のレスキュー→火星→海王星
という行程を、段階を踏んで見せているんだけど、これ全部いらないんだよね。

一番のピークは冒頭の自由落下だけ。
そこからつまらない展開と暗い映像とブラピの独白だけが延々と続く。

序盤の月面基地の
「月には国境がないので紛争地帯みたいな状況」って設定が一番興味そそられたのに、
月面バギーでのカーチェイス以上の事は起こらず。
あ、これ、
単に退屈になるのを避けるべく、客引きのために入れただけなんじゃ?と勘繰り始める。

ドナルドサザーランドも結局「昔の親父を知っていた」以上の役割がないまま退場・・・。
特に極秘任務関係の例のタグも意味なかったよなー。
アメリカ軍とか宇宙軍とかの区別もよく把握できないままだった。

月→火星の途中、
放浪宇宙船でレスキュー展開。
まるでアウトブレイクみたいな狂気サルが出てくるところで
「あっ・・・これクソ映画だ(察し」となった。

火星着陸寸前でタイミングよく起こる「サージ」あたりも鼻白む。
所長の火星生まれ設定も、なんでそれ入れた?。
リラクゼーションルームもどこまでワザとかわからないくらいリラクゼーション感が無いし。
(背景に大波ざっぱーんって笑ったわ)
この所長が言うセリフが「もう、どうでもよくなったの」
自分もこのあたりで同じ気持ちになったよ!!笑

火星のロケット発射にギリギリに飛び込んでエアロック開けて(これ考証大丈夫?)
そもそも地下湖がある地盤で発射台なんて作るかね?
で、ダイハードばりに乗り込んだロケット内で
自分以外のクルー全員死なせたとかもうね。迷惑甚だしい。
久々にSFに日本人が出てきたのはうれしいけど。

海王星について、なんと(!)生きてた親父と対面。
そこで唐突に「家に帰ろう」って言いだしてなんじゃこりゃと。

ブラピが宇宙旅行で孤独を感じていたのは、
ひたすらその独白セリフでうんざりするほどわかったけど、
親父に会えた時点でそれは何か別の方向に向かうのでは。
例えば親父と一緒に太陽系の外を目指すとか。
孤独を超えた先にあるものをトミーリージョーンズが見つけていて、
実はそれこそが美しいのでは?という映画かと思ってたよ。
地球では得られない感覚、というのをさぁ。
そんなことはなかったけど。

ま、トミーリージョーンズも気高いのかなんだかよくわらないまま、
素直に宇宙服着て、でもエアロック出た後に急に自殺行為をする。
しかもブラピ巻き込みながら・・・なんだよそれ・・・
もみくちゃになりながらもブラピはその後
スムーズに宇宙船に戻れてるし、なにせそのまま回転するアンテナからぴったり帰還船に向かって振り子のように飛び出してるし・・・
海王星の環の障害物をあんな薄い板で突破してるし・・・
『ミッション・トゥ・マーズ』や『ゼログラビティ』、『プラネテス』通ってきたものとしてはスーパープレイすぎるだろ・・・と

さらに
そもそも問題の発端で、人類滅亡の可能性もある「サージ」も、
大げさな話かと思いきや単なる内輪揉めかい!と。

呆れた。周りをズタズタにして、犠牲者も出しまくって
それでなーにが「自分は周りに気を配り、集中している」なんてのたまってんじゃ!

エンドクレジットで「ブラピの専属シェフ」「ブラピの専属ヘアメイク」とかが5~6人、律義にクレジットされてたのはウケた。

追記:
NHKニュース7で、他の重要なニュース(台風被害関連)を押しのけてまるで宣伝のような内容(ブラピのインタビューメイン)を流していたのには疑問府が尽きない。
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