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デーモン・インサイドのhorahukiのレビュー・感想・評価

デーモン・インサイド(2018年製作の映画)
3.8
シリアルキラーさんによるスプラッター気味なサイコホラー。

これは面白かったです!
劇場公開しなかったのがもったいない。
だけど感想としてどこまで書いていいのかが難しい作品…。なるべく内容には触れずに書いてますが、見る予定の方は読まない方がいいかもしれません。。。

序盤から映像とセリフによって情報がどんどん提示され、その違和感の積み重ねが不穏な空気感を醸成していくのですが、開始26分あたりにくる予想外な「爆発」で一気に物語に引き込まれました。

無言で森の中に佇む彼女を主人公目線で捉える映像だったり、歌われる曲だったり、クマの話だったり。そして名前と隣人との会話が決定的な不信を生み、緊張と緩和をサンドして観客側の感情の動きをうまく調整した後に「爆発」に持っていく巧みさ。表面上の和解と黒い海による嫌な予感を漂わせる映像演出も好み。この積み重ねのやり方は全体的にかなりわざとらしくはあるんだけど、あまりに突然訪れる「爆発」は素直に驚いたし、物語の先が全く読めなくなってテンション上がりました。

別荘にたどり着いた際の、『死霊館』の1、2を思わせる家中を舐め回すような映像が良い。その他にも映像表現に良いものが多く、背景の切り取り方とその中に映り込むサイコキラーさんの表情の変化によって只ならぬ恐怖を演出している。中でも下から見上げたカメラに映り込むキラーさんの表情は先程までと同一人物とは思えないほどのインパクトを与えるものになっている。

中盤以降は展開が大きく変わるんだけど、銃を構えるキラーさんの変わりようが単純に怖い。表情や髪型、衣装、銃の構え方。全てが感情を感じさせないほどに冷酷かつ残忍な本性を表現している。意識混濁の映像表現も見てる側がグワングワンしてくるような不安定なもので危機感を覚えたし、「道を探そう」→道を見るキラーさんの絶望しか見えないカットも好み。

窓の向こう側に見えるキラーさんの表情と曇り方、その後のスローモーションは残忍さが伝わってくるし、血しぶきが顔に飛び散りつつもナイフを振り下ろすキラーさんがとにかく怖い。心拍の変化を見せつけるのはちょっと萎えたけど…。

ただ終盤に入ると失速気味になってしまい、あまり好きではなかったです。失速した後のやり取りが他作との差別化にもなってるし「関係性」というものに重点を置いた本作の色でもあるんだけど、ちょっと飽きちゃいましたね(^_^;)約束という名の命綱についても、それほど納得のいくものではないから緊迫感が途切れてしまったように思いました。

とはいえ、かなり面白かったので新作レンタルするときにDVDスルーのホラー映画の中でどれにしようか迷ったらこれをオススメします!大概の人はそのコーナー見向きもしないと思いますが(笑)
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