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運び屋のkuuのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.5
『運び屋』
クリント・イーストウッド自身の監督作としちゃ10年ぶりに銀幕復帰を果たして主演を務めとるけど、やはり年取ったなぁイーストウッドも。
でも、なんて味があるんやろ!近くのスーパーにたむろしとるジジイたちはよく話すが、こないな味がある爺さんはいないなぁ。
扨、お話はって~と、87歳の老人が単独で大量のコカインを運んどったって実際のニュースをもとにして、長年、違法薬物の運び屋をしとった孤独な老人の姿を描いとるドラマっす。
とっておきに残してた一本やし楽しく大事に観たかなぁ。
家族をかえりみず仕事一本で生きてきとったアール・ストーン。
いまになっちゃゼニもなく、孤独な90歳に近い老人になっとった。
正業にミスって自宅も赤紙ペタペタ差し押さえられよって、フラフラになっとる時に、車を運転してモノだけを運びさえすればいいちゅう仕事を持ちかけられたアール。
楽勝な仕事やと依頼を引き受けよったが、実際の仕事てのは、ヤベェ😢メキシコ麻薬カルテルの
『運び屋』やった。。。。てなかんじです。
脚本は『グラン・トリノ』のニック・シェンク。
共演は、アールを追い込んでいく麻薬捜査官役で『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーとか
『マトリックス』のモーフィアス役で知られる演技派ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアとか実力派がええ演技してました。
イーストウッドの実娘アリソン・イーストウッドもアールの娘役で出演してます。なんかのコラムでアリソンはこの作品を振り返り『父の演技を見られてよかったわ。とても繊細で、映画を通してみていくと、頑固さが和らぎ、謙虚さも穏やかなところも見えてくる。でも映画の冒頭ではそういう人間じゃないの』
と語ってたがホンマにそう思うイーストウッドの名演技を楽しめました。
オススメ映画ですし、ゆったりと見直したい一本です。
扨、余談ながら、国から国へ麻薬を運び、その報酬をもらう者たちの俗称を『運び屋』っていいます。
もちのろん違法行為やし、捕まったらどこの国でも厳罰に処せられる。
せや、本人が知らないうちに、この運び屋に仕立てられることもある。
この映画はそないな犯罪は一度なら分からんまでも、数回やったら、そのブツがいかがなモンかは理解できるやろし、可哀想じゃすまされん。
主人公のアールもネェちゃんまであてがってもろてチョメチョメしとるさかい(チョメチョメまではいっとらんやろけど)、端から観たらドップリ浸かっちまってるし救いようがない。
しかし、やっとることはコマイし、若かったら目もくれんアホですますけど、主人公アールが親戚なら、また、知り合いの年配者ならどうかなぁ。
どの国でも、今の繁栄を謳歌出来るんは、先輩方が懸命に働いてくれたさかい出来とるンやし、そないな功労賞もんの方々が、豊かに暮らせない社会のあり方に問題があんのとちゃうかなぁと。
警視庁の当てになるかわからん調査によりゃ、男女共に60代以上の高齢者の検挙される人数が増加の一途をたどってるそうな。
調査した14年間で検挙人数の高齢者の占める割合は16.9%と、何倍にも膨れ上がっている。
高齢初犯者の割合は50%以上って云っとっても云い過ぎちゃうんやろな。
高齢犯罪の70%以上が罰金刑でおさまってるけど、比較的軽微な罪を犯してる。
中でも万引きだとか、占有離脱物横領など、人が落としたものや忘れ物などを自分のものにしたときに成立する軽犯罪で検挙されているケースが多いのが特徴特徴かな。
せや、パクられる爺さん婆さんの最も多い動機は生活の困窮なんやろかな。
万引きとかの罪を犯してしちまった人の動機としてこないな問題が最も多いのやろ。
『ゼニを節約したい』
『年金を使いたくない』とかの理由で犯行に及んだとされる人の割合も多くなっとるし。
孤独感や孤立感も犯罪を助長してるやろし、罪を犯しちまった高齢者の中にや単身世帯が多く、高齢犯罪者の多くが低収入、無収入ちゅうデータもある。
社会から隔離されちまってることによって罪を犯しやすい環境に置かれていることも、高齢者の犯罪が増えている原因のひとつやと考えられる。
この作品じゃ、主人公は社交的やけど、心から理解し合える人が居ないってのがあり、相談が出来なかったことにも要因はあると思う。
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