もものけ

吐きだめの悪魔のもものけのネタバレレビュー・内容・結末

吐きだめの悪魔(1986年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ニューヨークのブロンクス地区は、浮浪者がはびこる最悪の犯罪都市。
酒屋のエドは、地下倉庫から60年物の酒を見つけて浮浪者達に1ドルで売りつけようと意気込むが、その"ヴァイパー"という酒には、恐ろしい成分が含まれているのだった…。




感想。
B級スプラッターのカルト的人気映画で、その人体破壊描写のインパクトと、自主製作映画とは思えないカメラワークの良さがある、ハチャメチャなストーリー展開とゲロ・グロ描写の下品極まりないホラー映画でございます。

とにかく汚い。
セリフからセットから、登場人物やゴア描写にいたるまで、全てが汚い。
そしてハチャメチャなストーリー展開で、全く本筋があってないような汚い演出が次々と続きます。
しかし、グロ描写の汚さをカラーペイントの色彩で緩和しているので、それほど嫌悪感を催すほどではなく、ゴア描写の特殊メイクもかなり良く出来ております。

典型的なグラインドハウス・ムービーですが、その人体破壊描写とスタイリッシュなカメラワークを堪能するためだけの映画といった感じです。

VHSレンタルでしか鑑賞してなかったので、この度Blu-ray版のHDマスターされた画質での鑑賞ですが、こんな古い低予算の映画なのに、画質が良くなり過ぎて現代に作られた作品といってもよいほどに、リマスター版映像は美しくなっております。

社会の底辺に住む浮浪者達の生活を通して、ベトナム戦争のトラウマから抜け出られないアメリカ社会を背景に、絶望し過ぎて諦めモードに突入した人生の負け犬達が、家賃もフリー、食い物もフリー、酒や女までもがフリーとなる楽園"吐きだめ"で自由気ままに生活するツケを、"楽園には蛇がいる"という聖書の教訓で払わされる寓話的な作品。

古き良きB級ホラー映画のバカバカしさが、てんこ盛りとなり下品極まりないですが、愛すべき低予算スプラッター映画の素晴らしさに、3点を付けさせていただきました。
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