新潟の映画野郎らりほう

映画ドラえもん のび太の月面探査記の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

3.0
【Open the door】


二人の少年 ーのび太とルカー が『どこでもドア』の 其々彼方と此方に立ち見つめ合う。その刹那 ドアは閉ざされ、彼等は片言隻語を残し引き裂かれる ―「トモダチ」と―。

二者の概況/関係性をドアの閉扉とその距離化で顕現するのは勿論、秘密道具「どこでもドア」のその万能とも思える機能をも凌駕する彼等の想いと友情の表出。
御馴染みの秘密道具を その機能性に止めず 聢と演出そして主題系へと昇華させる優れたエクリチュールは、「鉄人兵団」に於ける“入り込み鏡”の自己内省や、「秘密道具博物館」での“人工太陽暴走”に見る福島第一原発メルトダウンと冷却水注水にも相通ずる豊かな副次性を有していよう。



「夜7時にまた逢おう」―その後のモンタージュシークエンスでの科白の削ぎ落としと、その抑制あってこそ際立つ直後のスネ夫の一言も深慮が行き届いている。



万能の秘密道具を易々と凌駕する二人の強い決意/想い ー それを表徴する終極の彼等の眼差しが感動的だ。




《劇場観賞》