本物の軍国主義精神を叩き込んでくれる純度１００%の戦時プロパガンダ映画です。お国に命を喜んで捧げよと説く上官。名誉の戦死に憧れ、死に急ぐ飛行機乗りたちー。今では反戦映画の中でしか観れないこうした場面が、本作品では、私たちが身に付けるべき道徳訓としてリアルに描かれています。評価点はつけられません。

　何といっても本作品は、栄光の皇紀二千六百年（１９４０年）を記念して制作された陸軍省後援の国策映画。私たちも姿勢をビシッとたださなければならないような、気合いが入った内容にになるのは当然です。同じプロパガンダ映画でも、厭戦思想を紛れ込ませた「陸軍」などとは全く違います。ガチです。

　舞台は太平洋戦争勃発前の北支戦線。九七式戦闘機が編隊を組んで大陸の空を飛ぶ勇姿はー誤解を恐れずに言えばーカッコいいです。特撮担当は、あの円谷英二。さすがです。当時の青少年は、これを観て「自分も航空隊に入って命を捧げたい」と思ったことでしょう。天皇カルトと日本型ファシズムを後押しする、恐るべき映画です。

　印象に残ったのは、上官らが口にした「生死一如」（しょうじいちにょ）という言葉。仏教では「生と死は面の表と裏であり、本質は変わらない」という意味のようです。日本軍が、自国の兵士の命を消費する口実に「生死一如」を使っていた実態を垣間見た気がします。

　登場人物はいずれも無個性な軍人ばかり。セリフは点呼や出撃命令、軍人の心構えを説く訓話などがほとんどで、ヒューマンな会話はほぼゼロです。同じように笑い、同じように敬礼する集団を観ていると、文革当時の中国のプロパガンダ映画を思い出します。没個性なところがそっくりです。

　どの時代でも、政権与党は、プロパガンダを流して国策への支持を集めようとします。最近の安倍、菅、岸田政権も同様です。騙されないようにするためには、こちらもプロパガンダを見抜く目を養う必要があります。そうした見方に照らせば、本作品は「研究材料」として一見の価値があると思います。

太平洋戦争前の日本軍が中国でごたごたやってた時の話です。
本物のゼロ戦たちが空中を縦横無尽に舞い、
機銃をはなちながら、見事な空中戦をみせてくれます。
本物ですから、感動します。
実際に戦争をやってる時代に、戦争の映画ですから、
すべては本物ですし、説得力があります。
当時の兵隊さんたちの生活も知れますし、
非常に資料的価値の高い映画ですね。
おびなた伝さんも医者の長谷川一夫さんも渋いです。

1940年公開で支那事変の戦いを描いた作品であるが、戦意高揚でもなんでもなくただただリアルな軍隊描写が描かれている。見どころはやはり現在では絶対不可能な実機を使っての撮影だろう。九七式戦闘機という隼が登場する以前の戦闘機であるけれど格闘戦にすぐれた名戦闘機であった。
日本機に多くあったオイル漏れ（燃料漏れ）による不時着や、敵を深追いしすぎて被弾などどちらかと言うと負のエピソードばかりが描かれている。

印象的なのは兵士たちの死生観である。それは武士道そのもので死ぬ時は潔く死ぬという現在の価値観では中々理解しづらいものだったりする。
しかしその一方、戦友同士の絆はとても強いもので、一本のタバコをまわして吸い、互いに歌を歌い合う。未帰還機が帰ってきたら基地の全員で向かい入れるなどなど、その男同士の友情は今風に言えばほぼBLである。
終盤でも死の淵にいる兵士が戦友にお願いするシーンがあるのだが、これまた驚きの願い事をする。。。。これは見てのお楽しみということで。