藤田進主演。
大東亜戦争時の軍の全面協力による国威発揚作品。

加藤建夫率いる「加藤部隊」が、各戦地を転戦し、そこここでの活躍と苦悩を描いてます。

軍の協力で、実際の戦闘機を使い、敵方の戦闘機も押収した実機を飛ばしてリアルに戦闘シーンも撮影されていて、特に爆撃機の編隊をバックに、戦闘機のドックファィトは、今では絶対に撮れない貴重克つ迫力あるシーンです。

それに、特撮は、円谷英二により実写の中に入っていて見分けがつかない程のシーンもあり、特に爆撃シーンの迫力は素晴らしいです。

特撮好きな私としては、主役の藤田進は「ウルトラセブン」のヤマオカ長官他で有名で、「ゴジラ」の志村喬も確認出来ました。

『アニメンタリー 決断』でも印象深かった加藤隼戦闘隊のセミ・ドキュメンタリー！

あの、容赦なく隊員達を率いて何度も戦地へ飛び立っていき空中戦で戦果をあげ続けた英雄、帝国陸軍部隊“飛行第64戦隊”の加藤建夫隊長の伝記的作品。

こちら何を隠そう、れっきとした国策映画。

実機を使用しての高度6000メートルの地点で実際に撮影された空中戦の様子は実戦さながら。戦争のリアルがそこに映されている。これが本当にすごい。

戦時中に撮られた国策映画ながら、活躍した一人の人物に焦点を当てたストーリー性のある内容。ただの戦意高揚目的ではないところに本作が作られた意味と、加藤隊長への敬意を感じられる。

それもそのはず、本作は共に戦闘隊として戦った経験を持つ元隊員が書いた書籍が基になっているとのこと。一番間近で隊長の姿を見てきた人物が言うんだから間違いない。

散髪の時に意図せず部下に写真を撮られて照れるシーンが好き。その後、繋がってくるもう一つのシーンもすごく印象に残ってる。

時に厳しく、時に優しくいつでも隊員達を想い気にかける姿。彼の人柄の良さが大きく取り上げられていた。


アメリカ映画の場合だと、単純な敵対するメッセージが強く含まれるなか、日本の場合はちょっと方向性が違うような。こちら側は、あくまで守りの体制を重要視。“御国のためにどれだけ多大な努力と貢献をしたのか”に焦点が当たっている。そのため敵国への敵意たる感情は兵士たちの根本的原動力とはなっていない。戦いの在り方、その一番の理由というものが日米間で的確に違っている気がする。

そんな事を思わされた本作。

それを裏づけるものだと思える事柄が一つ───

日本兵は米兵のことを“敵サン”と「さん」付けで呼ぶ。これを不思議に思っていた私。敵に「さん」付けするなんて事を知った初めの頃は、嫌味や皮肉を込めての呼称なのかなと思っていた。がしかし、つい最近になってそうではなく、相手に一種の親しみを込めてそう呼んでいたのだと、そんなふうに思えるようになった。

いくら敵人といえども、戦地で過酷な体験を共有する者同士、この辛さが分かるのは味方の兵士の次に、敵国の兵士おいて他に在らず。

「敵サン」

この呼び方は、日本人の人格や素質、そして元々備わっているであろう国民的な品格を表しているものと私は感じる。(「てき」という二つの語が日本語的に発音しづらいために「さん」付けがされた、という説もあるっぽいけど)

“敵の野郎”とか“憎き敵”とかいう言い方でも十分おかしくないのに、こういった決まった言い方は日本の戦争映画で聞いたことがないような。

だって、対するアメリカは蔑称であるJapやNipを喜んで多様してるのに…だよ。卑劣なのは一体どっちなのかね。

日本兵へ下される命令は
「敵の拠点を破壊、軍艦を撃沈せよ！」

米兵に下される命令は
「野蛮な日本兵を全員ぶっ殺せ！」

戦争というものに善悪の概念は無いし、言い回しが違うだけでやっていること自体は同じで、ただの言葉のあやかもしれない。でもこれだけは分かる。

『私たち日本人は、世界でも珍しいレベルの誇り高き民族である。』

そのことを頑なに信じても、きっとバチは当たらないだろう。

　太平洋戦争🔥下の１９４４年３月に国策映画🇯🇵として上映された本作品🎥の、思わぬラストにぐっと来た。時の独裁者・東条英機🕶️への批判メッセージ👊としか受け取れない字幕が浮かんだからだ。マレー半島の大空🟦を行く隼戦闘隊🛩️の勇姿に続き、白黒の字幕が一瞬だけ浮かび、消える。

「前線は待つ　鐵を　飛行機を」

　毎日新聞📰の新名記者が「竹槍では間に合わぬ 飛行機だ」と書いて東条英機🕶️を激怒させたのは、１９４４年２月。この「竹槍事件」からわずか１カ月後に出たのが本作品🎥だ。サブリミナル効果を狙ったようなこの「瞬間字幕」の趣旨は、無謀にも東条🕶️に刃向かった新名記者の論調と同じ。本作品🎥を出した東宝映画🏢は、戦闘機🛩️も食糧🍙も手に入らないまま死に絶えていく前線兵士🧔の遺志をくみ、危険な字幕を入れ込んだのだろうか。陸軍省🏯の検定を、よくすり抜けたものだ。

　「前線は待つ　鐵を　飛行機を」

　映画上映までに戦況は悪化の一途をたどった。前年の４３年にはアッツ島で日本軍🇯🇵の守備隊💂‍♂️が全滅し、連合艦隊司令長官🚢の山本五十六👤も戦死した。追い詰められた東条内閣🇯🇵が、学徒出陣👨👨👨に踏み切ったのも４３年だ。厳しい情報統制が敷かれていたものの、兵士🧔も武器🔫も事欠いていた実情は、分かる人には分かっていた。そうした時代状況を考えると、このメッセージ✍️の持つ意味の重さがずっしりと伝わってくる。

　そうした当時の苦しい戦況☔と裏腹に、本作品🎥は、日本🇯🇵の連戦連勝☀️に湧いた戦争初期を中心に描いている。伝説のエース・パイロット加藤建男👤が、衣食住そろった基地から戦闘機🛩️で発信し、オランダ機🇳🇱を鮮やかに撃ち落とすシーンが続く。部下と談笑する場面もふんだんに盛り込まれており、思わず「加藤少佐、かっこいい！」と叫びたくなる。そう、本作品🎥が取り上げる１９４１年１２月当時の明るい戦況🌞は、映画上映時から見れば「古き良き時代の思い出話」に過ぎなかったのだ。圧倒的な戦力を誇る米軍🇺🇸が日本列島🇯🇵に迫る中、正しい情報を教えられていない当時の大衆👥は、スクリーンが映し出す「過去の勝利」をみて、つかの間の喜びに浸っていたのだろう。本作品🎥が、純度の高い戦意高揚映画💣️であるのは、間違いない。というわけで、スコアは付けられません。

　だが、狂信的な軍国主義⚔️精神がほとばしる海軍省検閲の🎬️「ハワイ・マレー沖海戦」（１９４２年）に比べれば、全体としてマイルドな内容に感じた。加藤少佐👤は、部下と顔を合わせるたびに「休め、もっと休め」と声をかけ、ナイスな上司ぶりを発揮。そして、当時は敵性語だった「今がチャンス」という言葉を口にして部下たち👥に笑われたり、みんなのためにおいしいコーヒー☕を煎れてみせたり。本作品🎥は、そんな自由で開放的な加藤の人柄を存分に描いている。

　戦勝ムードに満ちた戦争初期の🎬️「ハワイ・マレー沖海戦」が軍国主義⚔️丸出しだったのに対し、敗色濃厚だった戦争後期の🎬️「加藤隼戦闘隊」がヒューマン♥️な視点を重視しているのはなぜだろうか。そして陸軍省🏯がこれを了承した意図はどこにあるのか。軍国主義⚔️の下で疲弊していた国民👥のガス抜きのためだろうか。興味深いです。