ゲイリーゲイリー

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のゲイリーゲイリーのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

屋敷の主人の死亡事件に隠された家族同士の因縁。
この様な使い古された設定のミステリーをここまで面白くできるのは凄いと思う。

本作の素晴らしい点は、観客にはある程度情報を提示していたところだ。
薬を間違えて投与したアナ・デ・アルマス演じるカブレラ。
彼女を守るためにスロンビーがとった行動などは物語の中盤で明かされる。
しかし、ここまで情報が提示されても謎は深まるばかり。
依頼人の正体や、事件に隠された真相など先が知りたくてたまらない展開になっていた。

ミステリーとして素晴らしいのは勿論のこと、コメディ要素やサスペンス要素も見事だった。
観客には情報が提示されていたため、カブレラが証拠を消そうと躍起になる描写などはヒヤヒヤするだろう。
そして本作の鍵となるカブレラの体質。
一見ただのコメディ的な体質として描写されたのかと思いきや、これが事件解決の流れに大いに関わってくる。

他にも、本作は伏線の張り方が非常に上手だった。
ハーランの家政婦フランのセリフや、ハーランの母親のセリフ。
セリフに留まらず、偽物のナイフやラストシーンのコップなどの小道具にまで伏線が張られているのは驚いた。

難解になりがちなミステリー作品を、高水準のミステリーでありながらもエンターテイメント作品に昇華させたライアン・ジョンソン。
本作がアカデミー賞脚本賞を受賞していたとしても、異論はなかったと思わせるレベルの作品だった。