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キャッツのbluestarのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
3.8
先に結論を言えば、
ダンス、特にバレエ好きな人、幅広く音楽が好きな人、英国仕込みのミュージカルに興味ある人には楽しめると思います。

どの役者さんも感情豊かに全身から演技していて、何人もスゴイと思わせてくれました。
全体の作品としては出来はそこまでではないのだけど、役者さんは皆良かったです。

主役のヴィクトリア・ザ・ホワイト・キャットという白猫。
こちらはロイヤルバレエでプリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードが可憐に演じていました。
動きがバレリーナそのもので、観ているだけでステキなのだけど、歌声の透明感がとても素晴らしかった!

ジュディ・デンチ演じる老猫オールド・デュトロノミー。
ご本人はミュージカル版でジェニファー・ハドソンが今回演じてたグリザベラ役をやっていたそうで、今は85歳とのこと。
すごく素敵な女優さん。
人間味(猫味か…)の滲み出る良い表情で歌も良かったです。

渋い老猫ガス役、イアン・マッケランの演技はもっと観たかった。

ダンスで最高に良かったのはスキンブルシャンクス役のスティーブン・マックレー。
この人もロイヤルバレエのダンサーで、バレエ『不思議の国のアリス』のマッドハッター役で華麗なタップをカッコよく決めてくれたあのタップを、今回更に高速回転したような凄味のあるダンスを魅せてくれました!
バレエ団の来日公演で観たマッドハッター役が大好きだったので、もうこれを観れただけでも満足でした。

あと、書き出すとキリが無いけど、グリザベラ役ジェニファー・ハドソンのメモリーは聴き物でしたし、
マンカストラップ役のロビー・フェアチャイルドは優しさ溢れるイケ猫でしたし、
赤い猫ボンバルリーナ役のテイラー・スイフトは美しいし、歌良いし、
魔法使いのミストフェリーズ役のローリー・デイビッドソンは素顔の方がカッコいいようだけど、良い役だったし。

更に、プレイボーイ猫ラム・タム・タガーを演じた歌手のジェイソン・デルーロは、映画の前半部でパンチのあるノリノリの歌を聴かせてくれて楽しかったです。

あのフサフサモフモフの衣裳を着てあれだけのダンスをするのは、役者さん、かなりハードだったと思います。

とても優しい世界で、子どもにも見て欲しいですけれど、子ども受けする演出かというと、この作品は大人向けなんだろうな。

ストーリー展開がはっきりしていないし、猫キャラの紹介で前半の大半を使ってるなぁ、と感じるところはありました。
そんなところも興行的には今ひとつなのかなぁ。

予告編を観た時点で観たくなっていたけど、公開後には予想以上にこけているようで、割引チケットでなかったら観そびれたかも。
結果は観て良かったです。

Spotifyでしばらくサントラを楽しもうと思います。


平日夜の新宿ピカデリー、シアター3は287席らしくそこそこ広いのに、前夜予約した時にはガラガラでG列中央に席を取り、当日行ってみたらG列より前は人の気配無し。驚きの閑散さでした。

映画の評判からだけではなく、今、インフルエンザや新型コロナウィルスのせいでどこも人が少ないのかも知れませんが、もっと観られたら良いのにな。

追記、衣裳がピッタリしてるのと動物を人間が演じる違和感、という意見も有るようだけど、バレエを観ていると、熊やウサギやムーミンも踊ってるので特に気にならなかったです。映画は観ていないけどバレエをやってる娘が言うには、舞台で観るなら判るけど、実写だとどーなのって普通に思うと言われたので、観る人によっては違和感あるポイントなのでしょう。
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