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コーダ あいのうたのbluestarのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.8
観てからまた時間を置いてしまいました。
2022年のアカデミー作品賞受賞作。

リメイク元の2014年フランス版「エール!」も観ていなかったので、前知識なく鑑賞しました。

家族の中でただ一人の健聴者で、聾者の両親と兄の手話通訳役を生まれながらに背負わされている高校生のルビーが、自分の夢を見つけ、そこからの葛藤と日々の暮らしを丁寧に描いた、青春映画の良作でした。

ルビー役のエミリア・ジョーンズは歌唱力も素晴らしいですが、ナチュラルな姿が好感度高かったです。
両親と兄は実際の聾者の俳優さんということは鑑賞後に知りました。それくらい演技も上手かったということですが、そもそもお母さん役のマーリー・マトリンさんは「愛は静けさの中に」でアカデミー主演女優賞を得た俳優さんなのですね。

彼氏役の男子は「シングスストリート」の主役のフェルディア・ウォルシュ‐ピーロなんですね。
あれ、今いくつ?23歳か。高校生役、まだ問題無かったです。

私ごとながら、実際、聾者ではないですが亡き母が40代から障害者となり、50代には失語症も重なり介護離職の経験がありますが、障害を持つ家族がいる家庭は、介護に日々途切れなく、時間も体力も使い自分のことは二の次になりがちです。
障害者自身も介助者の家族に負担をかけることを負い目に感じてしまうでしょうし、介護者も介護だけの人生になってしまっては自立が難しくなるので、国や行政がより障害者の居る家族へのサポートをよりアップデートしてもっと暮らしやすくしたり、一般市民も困った人を見かけたら、スルーせずに出来ることから手助け出来る風潮が根付くと良いなと思います。

映画を観て、感動した〜だけではなく、
そういった家族がたくさん居て、困っている人が多く居ることや、もし自分の家族が障害を負ったら……、ということまで考えを巡らせてもらえるきっかけになれば良いなと思います。

タイトルのCODAは音楽用語の「コーダ、終結部」のことかと思っていたら、
「親がろう者である子ども=children of deaf adults」のことだそうな。
勉強になりました。
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