kuu

幸福都市のkuuのレビュー・感想・評価

幸福都市(2018年製作の映画)
3.8
『幸福都市』
原題 幸福城市 City of Last Things.
製作年2018年。上映時間 107分。

高度な監視技術が発達した近未来から、過去へ。
逆行する時間の中で語られるのは、許しがたい罪を犯した者たちへの復讐に燃える、ひとりの男の物語。
台湾・中国・アメリカ・フランス合作品。

2049年。
舞台はテクノロジーが超発達した未来都市、住民は皆手首に埋め込まれたチップで色々なことが自由にできるが、監視社会でもある。ジャン(カオ・ジエ演)は生活に疲れたのか、ピストルを手に入れ、30年前に自分の人生を狂わせた人物を殺すことにした。
ついでに、衝動的に妻、その愛人も殺してしまい、自分も命を絶つ。
しかし、先ほど売春宿で会った西洋人の女の子が昔知っていた子に似ていたため、そこから過去へ思いを馳せる。

NetflixやらAmazon Prime Videoてののストリーミング・プラットフォームのエエ所は、以前なら古すぎたり、日本では手に入れることが難しい作品と出会えることができることてのが一つにある。
今作品は、個人的にそないな一例作品でした。
この台湾・中国・アメリカ・フランス合作品は、トロント国際映画祭(2018年)で初上映され、7月11日にNetflixで初公開されてましたが中々観る機会に恵まれず、やっと視聴。
今作品は、ある男の3つの大きな夜に広がる野心的な作品と云えるかな。
その3つの運命的な夜が、男の過去、現在、未来を決定づける。
せや、複数の節目で、それらのつながりが少しずれているように見えるものも否めないが、それを継ぎ目のなくするために多くの思考がなされとるちゅう事実は無視しがたいものです。
その男、ジャン・ドンリンは自殺した。
そして、彼の人生を形成し、最終的に彼の死を招いた3つの出来事を逆時系列で垣間見ることができる。
最初のパートやと、浮気な奥さんと、父ちゃんのことあからさまに心配しているようには見えない娘を持つ、年老いたドンリンの姿が描かれてる。
第二部やと、若く勤勉なポリスでありながら、冤罪でフランス人女性アラとロマンチックな一夜を過ごすドンリンの姿が描かれてた。このドラマの第3部は、若い10代のドンリンと、彼の母ちゃんとの短くて悲劇的な交流が描かれてる。
今作品は、うまく編集されていなければ、もっと退屈で疲れる映画体験になっていたかもしれへん。語り口は繊細で、注意して見ていないと、主人公の人生の3つの重要な部分の間のジャンプを見逃してしまうんちゃうかな。
照明と色彩は、薄暗く、ほとんど存在せず、あるところではむしろ絶妙で、まるでドキュメンタリーを見ているような印象を感じたときもあった。
こないな試みの素晴らしいところは、製作者が様々なジャンルに手を出すことで、全体のストーリーテリングに深みを与えることができる点やと思いま。
映画の前半はSFドラマのようであり、後半はノワールのような雰囲気があり、後半は通常の家族ドラマのようでした。
Netflixは凡庸な番組や映画がストリーミングに溢れ、いかにもという感じやけど、ありがたいことに、今作品はその範疇に入らない善き作品でした。。
kuu

kuu