ケイスケ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのケイスケのレビュー・感想・評価

4.5
『TAR/ター』158分、『バビロン』185分、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』169分…などなど映画の上映時間がどんどん伸びていき、映画大好きポンポさんが怒りそうな流れで流石スコセッシ!まさかの204分!長げぇ!

20世紀初頭のアメリカ・オクラホマ州。先住民族のオーセージ族は石油を掘り当てて莫大な富を得るが、その財産を狙う白人たちが彼らに近づく。白人たちはオーセージ族を言葉巧みに操っては財産を次々と取り上げやがて命までも奪っていく。悪事が加速していく中、オクラホマを訪れたアーネスト・バークハートはオーセージ族の女性モーリー・カイルと出会って恋に落ちる。

個人的に2023年はよほどの映画が出てこない限り『フェイブルマンズ』がベスト映画かと思ってましたが対抗馬で本作が出てきました。スピルバーグとスコセッシで悩むとか、おじいちゃん監督たち全然枯れてないな!フェイブルマンズも151分と長めですが、本作もフェイブルマンズも長さを全く感じません。手練れの映画監督は違うよね。

レオナルド・ディカプリオはこういう役をやらせたら本当に上手い!なんか最初からダメ、というか自分と関係ないレースとかでとりあえず盛り上がって他人に止められる…みたいな人いるいる笑。モリー役のリリー・グラッドストーンも凄かったなあ。この方はオスカーを取るんじゃないかな。

ストーリーは実話ベースながらシンプルです。インディアンのオイルマネーにたかる人間の醜悪さがこれでもかと描かれており、やはりデ・ニーロの良い人ムーブを出しているけど邪悪な顔を持った演技はさすがの一言。最後のインスリンのとこ辛いよなあ。アーネストくんさあ…多分アイツはおじきが入れ知恵しないと何もできないのでしょう。「え?え?」という表情がどうしようもないけど最高。

204分という長さですが一瞬足りとも退屈する場面はありません。キャストの極上の演技を見るだけでも元は取れるでしょう。御年80歳のマーティン・スコセッシ監督。まさかここに来てベスト級の傑作を撮ってしまうとは!めちゃくちゃ面白かったです!