ケイスケ

キングスマン:ファースト・エージェントのケイスケのレビュー・感想・評価

3.7
歴史ファンタジーの映画として観れば抜群に面白い。ただ『キングスマン』シリーズとして観ると少し物足りない点があるのも確か。エピソード0なので本作からシリーズを観るのもいいでしょう。

イギリス、ドイツ、ロシアといった大国間の陰謀が渦を巻き、第1次世界大戦勃発の危機が迫ろうとしていた。そんな中、コンラッドは父親のオックスフォード公に連れられ、高級紳士服テーラーを表向きの顔にしたスパイ組織キングスマンの一員として迎えられる。世界に迫る危機を回避しようと動き出す二人だが、その前に怪僧ラスプーチンが立ちはだかる。

1と2のゴールデン・サークルも観ていますが、前作はちょっと苦言のあるレビューを書きました。ザックリ言うとハリーの話のぶん尺が増えたこと、チャニング・テイタムのポスター詐欺、ある悪役の後味の悪さです。悪役の殺し方は好き嫌い分かれるかな。でもあそこまで惨たらしく殺すのはギャグとしてもちょっと…。あとエルトン・ジョンのくだりは普通にスベってたと思う😥

ただそんな画作りもマシュー・ヴォーン監督作品の魅力ですね。本作は戦争が絡んでいるので『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』を観ている感覚に近い。まあ本作は真面目な戦争ものとして観るとどうかな?って感じではありますが笑、各国のお偉い方をトム・ホランダー3役にやらせているのは実際に血縁関係があって似ていたからという話にかけているので、そういった細かい点を描いているのは面白いです。

中盤の戦場描写も良かった。『プライベート・ライアン』がその後の戦争映画に影響を与えまくったように、本作は『1917 命をかけた伝令』のような長回しが活かされています。1917に影響を受けた作品も最近は結構ありますよね。ここではとあるキャラクターがまさかの死を遂げてしまうので驚いた。誰かの死によって主人公が奮起して展開が加速するのもヴォーン監督の特徴ですね。

個人的に気になった点。100年前の出来事なので仕方ないと思うんですけれど、今回の話って前2作の主人公のエグジーとハリーに繋がる部分が全く無いんですよね。キングスマンの心得『マナーが紳士を作る』的な継承も今作で特に始まったことでは無いような。キングスマン設立の後も様々な出来事はあっただろうからそこで脳内保管するしかないですね。作ろうと思えば今作の続きも作れそうだし。

これも仕方ないですけど、キングスマンが使うガジェットや、(いい意味で)悪ふざけなシーンも少なかったですね。1の頭がパーンするとことかめっちゃ大好きなので。ガジェットは…まあ今作の話以降に色々とビックリメカが作られていくんでしょう。ただ(敵側の兵器ですが)ゴールデン・サークルのメカドッグみたいなやつはちょっとどうなんだ?とは思うところ😅笑。

あとグレゴリー・ラスプーチンの倒されるタイミングが微妙。コイツがどんどん狂気を出していって最終的に世界を混沌に落としていく話でも面白そう。ある程度、史実に近付けるにはラスプーチンにそこまでやらせたらダメな気もしますけどね。彼のアクションとオックスフォードの絡み(意味深)は良かったね。ちょっと文句が多めになりましたが最高に楽しいアクション映画でした。3もあるでしょうし。あ!前作でロキシー雑に殺したのフォローしないと許さんからな!😡笑。