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ザ・ピーナッツバター・ファルコンのNMのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「そうさ 友達ってのは自分で選べる家族だ」

ダウン症を持つザックは身寄りがおらず22歳の今までずっと施設で暮らしてきた。
職員のエレノアだけは優しかったが、他の職員は彼をウスノロと呼び侮辱した。
彼は自由を求めて脱走、半裸のまま一人走り続けて埠頭まで辿りついた。

一方同じく家族のない男タイラーは、地元のカニ漁師のもとで働いていたものの同業者からの窃盗がバレてクビになった。
その同業からリンチに合い腹いせに漁場に放火して追われていたところ、隠れていたザックを見つけた。
施設の職員エレノアは必死にザックを探している。

ザックはタイラーについていこうとしたが、タイラーが相棒にするはずもない。
彼を置いてヒッチハイクで出発するが、放火の件で警察が張っていることを知りザックのもとへ戻った。

子どもに虐められているところを思わず助ける。
ザックはプロレス学校に入るんだと語るので、送っていくことになった。
それほど遠くないところらしく、ザック憧れのレスラーの学校だ。
彼を利用できると思ったのか、咄嗟に体が動いただけか、気まぐれか。

タイラーは雑貨店に寄り、なけなしの金でピーナツバターと釣り針を買っていると、職員のエレノアも店に来て、この人を知らないかとザックの写真を見せた。
ザックもお尋ね者であることがわかり、旅に連れて行くことにした。

ザックはカナヅチ。
漁業が盛んでどこへ行くにも大河が通るこの地域を旅するのにはトラブルの連発。
タイラーは少しずつ泳ぎを教えていく。

夜。ザックは、俺は家族に捨てられダウン症だから悪役レスラーになるんだと語った。
タイラーは、お前は悪くない、魂に何の関係がある、お前は善玉でヒーローだからそれは変えられないと諭す。
ザックはタイラーに、君はいいやつだと言う。恐らくそう言われたのは久しぶりのはずだ。

不思議な老人に出会う。神を信じるかと聞かれ咄嗟にイエスと答えるとすっかり親切にしてくれた。
旅に必要なものをやるが、受洗が条件。
老人はこれからは新しい人生のスタートだと帆付きのいかだまでくれた。タイラーは泣き崩れた。
しかしこの老人は後から来たエレノアも家に上げてしまったようだ。

ビーチにいた二人。エレノアがやってきて連れ帰ろうとしたが、タイラーが止める。
彼は大人だし夢を追ってる、施設に閉じ込めるな、俺は応援すると。
言い争いの途中、ザックはエレノアの乗ってきた車のキーを遠く水中まで投げ捨てた。
旅のメンバーは三人になった。

エレノアは今まで散々ボランティアをしてきたが、反面そのプライドがある様子。
タイラーは、君は他の職員のようにザックをウスノロと呼んでいないかもしれないが、呼ばないだけでそう思っていると指摘。
そしてエレノアが夫に先立たれていることを知り、兄を亡くし一人きりのタイラーは親近感を覚える。

エレノアが施設にザックを見つけ一緒にいると連絡すると、危険人物としてもっと厳しい環境の施設へ送る予定であることを聞かされる。

三人はザックのヒーローであるレスラーのソルトウォーター宅に辿り着く。
中からソルトウォーターが出てきてタイラーがプロレス学校の話をすると、10年前に閉校していることがわかる。
タイラーはそれをザックに言えず、引っ越したそうだと伝えた。

三人がとぼとぼと歩いていると、スーパーカーをドリフトさせて顔をペイントしたソルトウォーターが現れた。
ザックの練習相手になってくれた。夜までともに過ごした末、ザックは明日試合に出ることになった。

地元での野良試合とは言え迫力満点。
相手は強豪選手。容赦もしてくれないが、ザックはその怪力で堂々と立ち向かった。
するとそこへタイラーの追っ手がやってきてタイラーの頭を強打。
試合は中止になったようだし、ザックの夢は叶うかどうか正直怪しい。
タイラーも逃げ続けるわけにはいかない。
エレノアの理想を実現するのも簡単ではないだろう。
だとしても、三人は確かな絆を得たようだ。
また三人でどこかへ車に乗り向かっている。自分で選んだ家族を見つけたようだ。


主人公ザックには頑張ってほしいところだったが、そう安直なストーリーにはしなかったようだ。それはいいとしても三人とももう少し心情の掘り下げをするとか、もっと大きなきっかけが起こるとか、何も起きないけどじわじわと何かが変わったのを感じさせるとか、何かしら深みが欲しかった。悪いところはあまりないが、ぐっとくるような点も少なかった。
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