むらさきの月

新聞記者のむらさきの月のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.3
ペンは剣よりも強し 
但し「偉大なる人物の統治下では」

藤井道人:監督・脚本
望月衣塑子:原作「新聞記者」鑑賞

記憶に新しい…というか、現在進行形の政治事件が
上手く作品のモチーフとして織り込まれた
日本マスコミの存在を問う
「リアル」な「フィクション」の
社会派エンタテイメントだったと記憶しておこうと思う

真実を追求する新聞記者:吉岡アカリ
今ある世界を真実から守る役人:杉原拓海

「誰よりも自分を信じ、疑え」

父の残した言葉とともに
真実がゆらぐ世界に居る
吉岡アカリの世界の映像は揺らぎ
今ある世界を守る側に居る
杉原拓海の世界の映像はびくともしない
次第にその映像が変化していくことで
彼らを取り巻く環境が変化していっていることに気づかされる
なかなか興味深い仕掛け

吉岡アカリ役のシム・ウンギョン氏起用に関しては
賛否がいろいろとあるみたいだが
彼女の持つ「静かなる透明感」が
作品背景と対となる存在となっていて
良かったんじゃないかと思う

杉原拓海役の松坂桃李氏は、
戦隊モノで主演デビューした時から観ているから
ちょっと感慨深いモノを感じたヮ

ペンは剣よりも強しという言葉の意が
日本から消えかけている
今やペンは自分たちの味方ではなく
権力側に組しているからだ、と誰もが感じているからだ

でも、その言葉の意を葬り去ろうとしているのは
彼らだけのセイなんだろうか
内調の職員をPCに向って情報を操作させているのは
私ではないんだろうか

そう考えさせられた作品でもあったと追記しておこうと思う
むらさきの月

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