むらさきの月

王の預言書のむらさきの月のレビュー・感想・評価

王の預言書(2018年製作の映画)
4.3
「興夫伝」をモチーフにしたエンタテイメント時代劇
チョンウ、チョン・ジニョン、キム・ジュヒョク氏らをはじめ
ホントに豪華な演技派俳優の競演の本作には大満足
諦めずに日本で公開を待ち続けて 本当に良かった
そう心から思えた作品だったと記憶しておこうと思う

日本人の私には「舌切り雀」の方で親しみを感じていた「興夫伝」が
まさかの国の未来を左右する物語に生まれ変わってしまうとは……
やっぱり 韓国のエンタメ界は面白い(^^♪

通常よく視るTVドラマの時代劇のような演出スタイルでなく
この作品にも登場する韓国の伝統文化パンソリのように
美しい映像とともに朗々と物語が語られ
コミカル&シニカルに権力人たちが風刺されていく
どこか昔話風でコミカルな演者の表現も
この作品の雰囲気にピッタリとハマっていた
特に、チョン・ジニョン氏演じた意地悪兄さんは
昔話に登場する意地悪爺さんそのものだった♡

絵面も凝っていて
緊張感のあるシーンなのに小津安二郎的な目線を持ってきたり
対角線上に または直線状の奥行きを使って 
同時に二つのシーンを画面に入れるなど
ちょっとしたカメラの目線が醸し出す画面の違和感が癖になる
でも 不思議なことに 
それが時代劇のスタイルにマッチしてくるから超・面白い
これからも面白い作品が観られそうだから
この監督のこと、忘れないでおこう

忘れないと言えば、キム・ジュヒョク氏
今回も彼の演技は秀逸だった
良心の両班を自然体で生ききっている姿を見せられてしまうと
今後、彼の演じ生きる姿を見ることが出来ないことが
悔やむに悔やみきれない
「地が天となる世界」のくだりの演出は
この後に起こる 彼の未来そのものを見てしまったようで
辛くなってしまったが 
心に迫る良いシーンの一つだったと追記しておこう
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