むらさきの月

ゴヤの名画と優しい泥棒のむらさきの月のレビュー・感想・評価

ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)
4.0
実際に起きた名画盗難事件の経緯をなぞった映像化でなく
当事者の人間像や事件の内容を丁寧に掘り下げ
かつ 深刻さで描くのではなく
明るくコミカルに
痛烈な社会批判と問題を提起してくる
文句なく面白く
そして優しさに満ちた作品だったと記憶しておこうと思う

実際、日本で問題の肖像画を見る機会があって
これがイワクつきの
かつ、14万ポンドの税金が投入された名画なんだ~と
マジマジと鑑賞した覚えがある
この「ウェリントン公」の肖像画で癒されることは無かったけれど
この映像作品では 間違いなく優しい気持ちになれる
エンタテイメントに溢れた作品だった

もう~笑った笑った
コロナ禍の真っただ中の公開ということもあって
声出して笑っちゃいけないと思っていても
数少ない鑑賞者、全員大笑い
ジム・ブロードベント氏演じる
名画泥棒しちゃった(本当はしてない)おじいちゃんの一生懸命な正義と
その正義に振り回される奥さんを演じたヘレン・ミレン氏との
漫才のような会話が もう最高に面白かった
おじいちゃんの正義が
だんだんと世間の人々に波及していく様子に
「よかったね~~~」と最後は泣かされてしまうけど
それだけでない物語の展開もジ~ンとくる

結果的に、彼の本当の目的が叶うまでに
2000年まで待たなければならなかったけど
直ぐに結果は出なくても
行動を起こすことの大切さ
他の誰かを思うことの大事さを
ケンプトン爺ちゃんの姿に学んだことも追記しておこう
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