むらさきの月

ひとよのむらさきの月のレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.0
なんだろう…このモヤモヤ感
決して悪い作品ではないのだけれど

白石和彌監督作品「ひとよ」を試写で鑑賞

子供を暴力から守るために夫を殺す母親
父親の暴力から解放されるも両親を失い
殺人者の子供として生きて行くことになった3人兄弟妹
この物語は 刑期を終えて約束の日に戻ってきた母親の登場から始まる

こんな筋書きだから
物語が進んでいくにつれてヒシヒシとのしかかってくる重圧感との闘い…
かと思いきや そうならないところが白石監督の差配のなせる業なのか
不思議な空気感が支配する家族の絆復活の物語だったと記憶しておこうと思う

決して、悪い作品じゃないし面白くなくはないのだけれど
座りが悪いという印象は 最後まで拭えなかった
何でだろうと 上映中ずっと思っていたこの引っかかり
劇作家・演出家・俳優の桑原裕子が旗揚げした劇団「KAKUTA」の15周年記念作品を映像化したものと知って、腑に落ちる
更に終映後に開催された白石監督の舞台挨拶トークを聞いて
モヤモヤ感も解消されスッキリ

オリジナルを「創りこむ=面白い」って
必ずしも結び付くとは限らない…のよね、とも追記しておこう

佐藤健氏がどうしても注目されてしまうが
やっぱり、鈴木亮平、松岡菜優の両氏の演技力は秀逸
個性的な役どころであっても独りよがりにならず
役柄の自然な息遣いに安心して共感できる
いつか 鈴木亮平氏の生の舞台を観てみたいなぁ……
むらさきの月

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