あすとろ

劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~のあすとろのレビュー・感想・評価

4.3
愛に理屈も理由もいらない。

TV本編から一年、香港に転勤になった春田創一は再び天空不動産第二営業所に戻り今までのメンバーと新たな新入社員の山田ジャスティスも加わり歩み出そうとしたその矢先、恋人である牧もいる本社のプロジェクトチームが現れ一大プロジェクトの一翼を担うように指示を受ける。
本社からの無理難題から頭を抱えつつ、その裏で大きな陰謀が渦巻き、営業部長の黒澤が記憶喪失になったり、春田へのジャスティスからのアプローチがあったり…とてんこ盛り内容で送る春田創一と天空不動産の最大の危機を笑いあり、涙ありで送るストーリー

本作は恐らく観てない人ほど予告編を観ると「どうせイケメン達がいちゃこらやるだけの女性向け映画でしょ笑」と感じてしまいますが、全くもって違います!(いや違う訳ではないんだろうけど)
実は海外作品含めても数少ない重苦しくなく、でもガツンとパンチを効かせてくるLGBT作品なんです!

まず主人公の春田自身が自覚はないものの男性でも女性でもどちらも恋愛対象として見れる人間(バイセクシャル)でその恋人である牧が男性同性愛者(ゲイ)という既にセクシャルマイノリティである2つを担っているんです。
しかもお涙頂戴なあからさまな「ほら!ゲイ、バイセクシャルなキャラですよ!」というな映し方ではなく過剰すぎず、かと言って控えめすぎないナチュラルな映し方をしていてあまり嫌悪感を感じませんでした。
また黒澤が春田にアプローチする様と黒澤の元妻である西園寺に栗林がアプローチする様が「性別や年齢など気にせず愛を伝えて良い」というメッセージにもなっていて、ただ一方的な同性愛ドラマだけでなく歳の差のセクシャルマジョリティまで映していて「凄いなぁ!」と唸ってしまいました()

またどのキャラクターも紆余曲折ありながらも自分でしか見出せない幸せを掴むor見つける姿までを映すのが自然とホロっとさせてしまう部分で、いくら主人公とはいえ春田以外のキャラを好む人はいるかと思います。
それはドラマや映画では避けられない性だと思いますが、黒澤や栗林や武川、狸穴や山田などの新キャラの“幸せな姿”を映す事によって「多数派だろうが少数派だろうが年齢だろうが性別だろうがどんな障壁ですら乗り越えて幸せになれる、幸せを掴めるチャンスがある」と思わせる見事なストーリー展開…!
セクシャルマイノリティへの理解を深めつつそれを認めて肯定し、その選択を後押しまでする本作はめちゃくちゃ凄いと思います!

正直、自分自身が舐めて観た分とんでもないカウンターを喰らってしまったので絶賛してしまいましたが、メッセージ的な内容がしっかり筋が通っている分「んな訳無いだろ」みたいなストーリーの展開も割と許容できる程には面白かったです!
既にDVD,Blu-rayは発売されていて、8月にはTV&劇場版が放送されるので是非それを機会に観てみてはいかがでしょうか?
1時間55分と少々長めではありますがテンポが良いので時間の長さなどは気になりませんし、TVのおさらい的なシーンもあるので全く知識がなくても楽しめます!
是非ご覧あれ!めちゃくちゃオススメです!
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