MOCO

失踪のMOCOのレビュー・感想・評価

失踪(1993年製作の映画)
3.5
「彼女はもういないのよ、その事実を受け入れなきゃ」
「今ダイアンがいても、僕は君にプロポーズする。愛しているのは君だ。
 でも、もし出来る事なら3年前に戻って彼女に何が起きたかつきとめたい」
「それじゃダメ、この先も生きていくなら、明るく楽しく生きたいなら、これが最後のチャンスよ。
 私を選ぶか永遠に別れるかよ。彼女を忘れて」

 レストランで働くリタ(ナンシー・トラヴィス)は客として訪れた疲れたジェフ(キーファー・サザーランド)に優しく接し、いつしか恋人になっていきます。

 ジェフは3年前、当時の恋人ダイアン(サンドラ・ブロック)とデート中にダイアンがドライブインのトイレとコンビニを利用した後、車の鍵を持ったまま失踪し、その捜索のために人生を費やし失業までしているのです。

 リタとの関係が深まるに連れ、ジェフはダイアンのことを口にしなくなるのですが、忘れたふりをしているだけで、リタの知らない所に部屋を借り、ダイアンの行方を探し続けているのです。

 やがてリタはジェフの秘密を知ることになり「ダイアンは今も生きているのか?あの日何が起こっていたのか?」ずっと追いかけてきたジェフはリタの愛に応えるために「もう彼女のことを忘れる」と約束し部屋を引き払います。

 バーニー(ジェフ・ブリッジス)は娘と妻の3人で暮らす大学教授です。ある時娘の目の前で溺れそうな女の子を助けたことで、娘のヒーローとなり満足感を味わったバーニーは「人の命を救えばいい人間になるのか?人の命をを奪えば極悪になるのか?」という疑問を持ち、その解答を導き出すために女性の誘拐を企てます。その犠牲になったのがダイアンでありジェフだったのです。

 バーニーはダイアンの行方を探し続けるジェフに満足していたのですが、毎月新しく貼り替えられていたダイアンを探すポスターが突然交換されなくなり、別のポスターが上から貼らダイアンのポスターが埋もれてしまったことに不満を感じます。

 そしてある日ジェフの自宅に「一人でヨットクラブに来い」という手紙が投げ込まれ、再びダイアンの調査を始めようとするジェフにリタは愛想をつかし「いたずらの手紙に決まっている」と言い放つと置き手紙の代わりに留守番電話の応答メッセージを「リタは永遠にここには帰って来ません」と吹き込み家を出ていきます。
 リタの吹き込みに気がついたジェフは普通の留守番メッセージを吹き込み直していると、突然見覚えのあるキーホルダーが付いた車のカギを持った男が現れ「君が探している男、パーニーだ」と喋り始めます。
 怒りに任せて暴行を加えるジェフにバーニーは「君にはその権利があるが、ダイアンのことを知ることができなくなるぞ、知りたければ私と一緒に出掛けよう」と助手席に乗せられ連れ出されてしまいます。

 リタは友人にジェフと別れる決意を見せるため留守番電話のメッセージを聞かせるのですがジェフに戻されたメッセージの最後に「君が探している男、パーニーだ」という声に愕然とします。

 少なくとも24時間の経過がなければ行方不明者の受付はできないと警察官に言われていたリタは、連れ去った車のナンバーが分かると所有者の自宅を確認します。

 リタは好奇心旺盛なバーニーの娘からお父さんの居る別荘の住所を聞き出し車で向かいます。
 その頃ジェフは「ダイアンのことを知るには追体験をすることだ」と睡眠薬入りのコーヒーを渡され自らの意思でコーヒーを飲みます。目が覚めたジェフは今何が起こっているのか気がつくのですが・・・。

 異常者バーニーを演じるジェフ・ブリッジスはこの頃、次代のアメリカの映画界を背負っていくかのような起用をされていたのですが、風貌が悪いのか?体型が悪いのか?徐々に主役の座を奪われていくようになってしまいました。この映画の主役なのですが、弱味につけこむ恐ろしい人間を上手に演じています。

 誘拐される女性を演じる脇役のサンドラ・ブロックが「スピード」でメジャーになるのはこの映画の僅か1年後です。

 リメイクであったため、公開時のアメリカでは辛口の評価を受けたようですが、よくできた面白い映画です。
MOCO

MOCO