和

天気の子の和のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
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最近、アニメ映画には普段は映画しか見ないよ…という人種には飲み込めないものもあるのだという事を思い知らされた次第であります。
蛇足は置いておいて

前作から早3年。当時は公開日に監督の挨拶付き上映を渋谷で見ました。新海監督はファンの心を喜ばせたい一心で映画を作っているという印象の人でした。
そんな監督は大ヒットした前作でRADの音楽と万人の人がスッと物語に入れる物語のリズムを手にしました。
ファンが面白いと思ってくれる映画を作りたいという意思はしっかりと音でも絵でも現れているというのは間違いのない所。

しかしながら、前作と違って現実世界に思い切り現れる描写から絶対に彼ら以外も知っているだろ…と思わざるを得ない。
別にそんな細かいツッコミどころで本作が面白くないと言っているわけではありません…。ただ個人的には今回のファンタジー要素が上手く飲み込めなかった。
"君の名は。"という映画のバランス感覚と勝負したばかりに個人的には期待よりもやや低めだったなという印象が強い。

監督の人柄が好きだからこそ、次の作品も期待でいっぱい。
ファンを喜ばせる要素ばかりではなく、たまには自分の作りたいものを見せて欲しいと心から願っている次第です。

21/6/15 追記
遅めの梅雨入りから改めて見返してみました。
まあ、なんて反骨的な映画だったのだろう...と当時は全くも本作の良さを理解できていなかったということを痛感しました。
監督が今まで積み上げてきたセカイ系という分野を強いメッセージ性を込めて作り出した意欲作であり、監督の名を世界的にも知らしめることになった前作”君の名は”とはまた違った映画であったことは前述の通り。
無責任な秩序に対して、主人公が持っている”ライ麦畑でつかまえて”の意味がわからなかったのですが学が深まった上で見るとラストもしっくりときました。
ポスト宮崎駿の称号を手にした直後に、本作のような作品を撮るということはメッセージ性を大衆が理解しなかったとしても素晴らしいことだなと思います。
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