このレビューはネタバレを含みます
大沢たかお「AIのぞみを救えるのはただ一人……俺だ!」
オリジナル脚本だからこそ作り込まれたストーリーと謎と日本の未来
2030年という時代設定ながらも近未来SFにありがちな未来都市感を感じないぱっと見今と全く変わらない日本を舞台に、ライフラインと化したAIが暴走し今まで助けていた人間に牙を剥くデジタルパンデミックのような作品
入江監督自身、AIに興味があり5,6年前ほどからこの作品の構想を練り専門家に取材等重ねて作られただけあってめちゃくちゃリアルです!
便利の拡大によるメリットとデメリット、首都圏以外の地域の過疎化、AIによって職を失い毎日抗議活動をしている人、車の自動運転とそれに不安を覚える人への対応、シンギュラリティに対応できるかの問題など「あ、確かに起こるかも」と思えるような違う角度からの怖さが見事でした。
“天才科学者”という割にはマッシブな体型の大沢たかおさんはさておき、誰かにハメられ指名手配された桐生浩介が逃避行しつつAIを元に戻す方法と黒幕を探すぱっと見テンコ盛りな内容何ですがしっかり起承転結が分かれていて分かりやすく、AIの知識が薄くても入り込めやすかったです!
AIに翻弄されるキャラクターも素晴らしく、
“AIを信じる者” “AIを信じない者”
“ただの道具として利用する者”など今の日本でも当てはめられるような分け方でしっかり感情移入しやすいと思います。
主人公演じる大沢たかおさん始め、福○監督のおかげでおちゃらけたキャラが定着してしまった賀来賢人さんも中々アツイ演技で個人的に良かったのは桜庭役の岩田剛典さんが良い味出してましたね!
ラストは「実は桜庭が黒幕だった」というこの手の作品に慣れている人からしたら読めそうな犯人ではあるものの、その動機が“今の格差社会日本”らしい動機でした
最後の取り調べ室での桜庭のセリフは本当他人事じゃないなと思いました。
大衆向けの実写化映画の保身的な作品が多い中、完全オリジナルの社会派映画でまだまだ日本映画の底力を感じました!
是非映画館で体感してみてください!