出版社の仕事を休職中の亜希は、⼀⼈暮らしをしている東京から、1時間半の距離にある実家へ数⽇間帰省をすることにした。それは、⼩学校から⼤学までを⼀緒に過ごしてきた幼なじみの野⼟⾹の新居へ⾏くためでもあった。野⼟⾹は⼤学の先輩だった直⼈と結婚して⼦供を出産し、実家近くに建てた新居に住んでいた。その家は温度と湿度が⼼地よく適正に保たれていて、透明の膜が張られているようだった。まるで世間から隔離されているようだと亜希は思った。最初は⼈⾒知りをしていた野⼟⾹の娘・穂乃⾹は、亜希が遊びの相⼿をしているうちに彼⼥に懐いた。⼀⽅、野⼟⾹からはとても疲れているような印象を受けた。数⽇後、亜希は東京の⾃宅にいた。彼⼥は机に座り⼿紙を書いていた。夢中でペンを⾛らせ、やがて書き終えると声に出して読み始める。「あの台⾵の⽇、あの⼦を川に落としたのは私です」そして今、亜希は警察の取調室にいる。野⼟⾹との関係や彼⼥への執着、直⼈への憎悪について、亜希は他⼈事のように話し始めた。
同じ俳優である若葉と黒川は、ある映画のオーディションで偶然出会った。最初、彼らは脚本の元に結婚する予定の恋人を演じたが、その後、監督は2人に即興演出をお願いし、現実と演出が重なり、彼らは再…
>>続きを読む『サロメの娘 アナザサイド in progress』あれから、100年以上が過ぎたらしい。不在の父をめぐる娘と母の記憶の物語。
山あいの小さな町に直美(西山真来)は養父の最期を看取りに戻って来た。義理の弟・裕之(鎌田英幸)との再会はふたりのあいだに秘密の過去をよみがえらせる。彼らは姉と弟の関係を越えて男女の仲に至っ…
>>続きを読むモダンダンスの始祖として知られるイサドラ・ダンカン(1878〜1927)。20世紀初頭、舞踊の世界に革命を起こした彼女は、1913年4月、二人の子供を事故で亡くし、その痛みに苦しみながら、…
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