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宮本から君へのKKMXのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
2.5
いやー、生理的に合わなかった。うるさく感じて疲れてしまった。バトルシーンは迫力あって引き込まれたものの、全体的に受け入れがたく、キツかったです。


主人公・宮本を受け入れられるか否かで本作の評価は決まるように感じます。宮本は不器用で直情的だが独りよがりで頭が悪い。彼の熱さと気合いと行動力は魅力があるので惹かれる人もいるでしょう。しかし、俺は彼の押し付けがましさをウザく感じ、まったくダメでした。俺に任せろ、みたいなのって相手との関係性を無視していると思います。しかも解決方法が目には目をだもんなぁ。それが無理だった。
ヒロインの靖子がまた無理だったため余計キツさが強まってしまった。ゴム無しを促す辺り、露骨なズルさを感じて引いてしまった(ゴムつけようとした宮本は誠実だと思いましたよ)。その前に「アタシにはアンタみたいな男しかいない」みたいなこと言ってたので、焦りがあって既成事実を作りたかったんでしょうね。ほんと、ウ〜ムって感じです。あ、でも子ダネが宮本なのか前に居たヒモなのかわかんないと言っていたから、単に中出しが好きなだけかも。どちらにしろルーズでクソだ。
逆に言えば、宮本と靖子は実にお似合いのカップルと言えるので、やはり人間は収まるべきところに収まるのか、などと妙に感心してしまいました。宮本の気合と覚悟も相手が靖子だからうまく回ったんだろうなぁ、なんてしみじみ思った次第です。なのでこの2人に好意を持てる人ならば、本作はめちゃくちゃグッとくるでしょう。

あと、ラグビー部のくだりはほんと胸糞でした。佐藤二朗の靖子へのセクハラや、タクマを呼び出す感じ悪さとか、マジで絶滅してほしい。そんな親父やコミュニティで育てばタクマもクズになるわ。
宮本も基本体育会系だからか、バカみたいに日本酒とかあおって豪傑を気取りたかったんでしょうね。それでつぶれてあの事件につながって行く。あ〜ヤダヤダ。


一方で、タクマのキャラクターには結構関心を持ちました。あの俳優が醸し出す無機質で空っぽな雰囲気とかすごくリアルでした。本作の登場人物の中で唯一琴線に触れたんですよ。なんか救い難い悲しみを感じてしまった。あの状況でレイプするなんて、裕也よりも行き当たりばったりだ!なんという投げ遣りさ加減…
色々恵まれているが、唯一ないのが魂みたいな切なさがキました。彼の人生惨めですよねぇ…愛される雰囲気もないし。勝者の悦楽に酔うべきガーエーだと思いますが、俺は敗者の方に気持ちが向いてしまった。
一方で、レイプという大罪を犯して刑事事件化しなくていいのか?という単純な疑問も。ひどい目に合うとかではなく、タクマには自ら犯した罪を糾される必要があるでしょ。オス対オス問題に矮小化していいのか?タクマの虚しさは裕也入っているから、他にも被害者いるかもしれないのに。いろいろ問題あるプロットだなと感じました。


今回、結局俺はダルデンヌ兄弟作品みたいなガーエーが好きなんだなってことが良くわかりましたよ!今後は話題作でも観る前の時点で繊細さを感じなければスルーだね。でも主題歌はカッコ良かった!



【追記】
宮本って旧日本軍みたいだね。精神性だけで勝てるみたいなノリがあってキツい。タクマとケンカして勝てたのは偶然だし、必勝の作戦があったわけでもない。アジテートだけでうまく行ってしまった宮本は結構ヤバいのでは?
本作はかなり昔の作品であること鑑賞後に知りましたが(昭和くらい?)、さもありなんです。
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