銀色のファクシミリ

台風家族の銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

台風家族(2019年製作の映画)
3.3
『 #台風家族』(2019/日)
劇場にて。最初に結論を書くと、なによりキャストの勝利。粗く進む物語を、それでもなんとか最後まで引っ張ってくれたのは、達者なキャスト陣の魅力あってこそ。面白いところもあるけど、庇いきれないところもある映画。

あらすじ。葬儀屋を営む父母が銀行強盗をはたらき、大金と共に消えて早10年。失踪宣告条件も銀行強盗の時効も満たして、残された子供たちは行方不明の父母の葬儀をあげることになった。彼らの最後のケジメであり、わずかな遺産を分配するための集まりでもあった。はずだった。

感想。銀行強盗が宮型霊柩車で逃走するシーンから始まる抜群のフック。葬儀と実家の葬儀屋を使った不謹慎ジョークも楽しい前半。ただ「なぜ父母は銀行強盗をしたのか」「どこに行って今どうしているのか」の謎が徐々に明らかになる後半では、粗さと細かい疑問が目立ってきてしまう。

そしてクライマックス、さすがに庇えませんぜという展開から、ここに着地したかったんだなというラスト。なんとか纏まりましたという感じ。登場人物よりキャスト全員の魅力で牽引した映画。草彅剛はもちろんで、登場から最後まで若葉竜也、良かったな~。なかなか幸せになれないっすね。感想オシマイ。

追記。主人公一家の娘・ユズキ役は甲田まひる。新人さんかと思って調べてみたら、本職ジャズピアニスト。この映画関連で一番のサプライズでした。世の中いろんな人がいるなあ。

好きなジャスプレイヤーがバド・パウエルとセロニアス・モンクというのも良き。自分でも知ってるくらい有名人だからなんだけど。彼女の演奏するYOUTUBEでの「クレオパトラの夢」も良きでした。追記もオシマイ。