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サバハのTakoのレビュー・感想・評価

サバハ(2019年製作の映画)
4.2
悪鬼とともに生まれた少女、新興宗教の闇を暴こうとする似非神父、『将軍』を祭る謎の宗教、”救世主”、100年以上生きながらえている教祖、度重なる少女の殺人事件――韓国発の良作伝奇映画です。
上記文言のどれかにビビっと来た方はぜひ視聴をオススメします!

メインのストーリーは、新興宗教の不正を調査するパク牧師が、とある怪しい新興宗教に目をつけて調査を開始するというもの。その裏ではいくつもの謎や事件が進行しており、同時並行的にストーリーが流れていきます。

全体の怪しげな雰囲気を作り出す手腕がなにより見事。冒頭から不穏の空気を醸しだしており、これからどんな陰惨な展開になっていくのか、とワクワクしっぱなしです。
キャラクターもメインどころはポップながら、しっかりと地に足ついており、空気を壊すことなくまとまりがある点もグッド。芝居もかなり良質でなんの違和感もなく作品の世界観に入っていけます。
ワードチョイスや固有名詞などのセンスも抜群で『伝奇』をしっかりとわかっている感がひしひしと感じられます。

プロットが秀逸であり、調査、発見、進行のプロセスが小気味良く展開されていき、ほとんどダレることなく前に前に進んでいくのが非常に気持ちいい。情報開示のタイミングや演出も過不足ありません。
終盤のどんでん返しや謎がすべて明かされるシチュエーションもベストです。

全体としてはかなり満足度の高い伝奇サスペンス作品ですが、ひとつ難点を上げるとすれば、キャラクターへの感情移入具合でしょう。
重要な人物に敵キャラクターの存在がありますが、彼に対してあまり好印象を抱けないため、後半のひっくり返り(感情的にもポジション的にも)について気持ちがついていけないところがありました。
もう少し丁寧にこのキャラクターを描くことで、これらの問題が解決できたはずなので、その点についてはややもったいないなぁ、といった印象です。

とはいえ、完成度としては非常に高く、これほど見ごたえのある伝奇作品はそうそうお目にかかれないので、オカルト的な要素が好みの方にはオススメの作品です!
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