2015年9月に94歳で亡くなられた福島菊次郎さんの追悼上映にて。本作は2012年の公開時に観て、カメラを構えたと思ったらもうシャッターを切っている人馬一体感にいたく感動したものです。
権力の不正を暴くためなら手段を問わない、「問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を犯してもかまわない」と唱える。それはそれでどうかと思うが、そんなジャーナリスト魂が生み出した優れた報道写真は数知れず。
ピカドン、三里塚闘争、安保、自衛隊、水俣、ウーマンリブ、祝島、この国が覆い隠そうとしているもの、「ニッポンの嘘」を暴き立てる。
夜襲され家を放火されても怯まず、家族とも別れ、年金支給を拒否し、90歳を超えてなおフクシマでカメラを構える。
まさに反骨の権化。ジャーナリズムが危機に瀕する今の時代にこそ必要な人物ではないか。
生活を言い訳に権力におもねるジャーナリストもどきは彼の仕事に触れて考えて欲しい。
そんな菊次郎さんが亡くなる直前にこんな言葉を残したそうです。「もうすぐ戦争が始まるよ」って。最前線に立ち続けてきた男の言葉は重い。
個人的に本作の続編と思ってる『広河隆一 人間の戦場』がもうすぐ公開です。