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フォードvsフェラーリのRockoのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.5
今年150本目です。
他人と競っている訳でも自分で目標設定している訳でもないのに過去最高にドラマよりも映画を観ている年。
なかなか劇場へ観に行けないのがもどかしくもありますが、この映画は旦那が観に行って絶賛していたにもかかわらず、F1より馬のレースにしか興味が湧かない私はようやく自宅で鑑賞。
よかった。すごくよかった。テレビ新しく買ってよかった。最初からエンジン音に痺れる。

買収交渉の破談に発端する企業戦争の部分はアイコッカ役のジョン・バーンサルの演技に驚きでした。
あの福耳はどう見ても『ウォーキング・デッド』のシェーンなので力強い演技が上手いのはわかっていたのですが、ビジネスマンが口に出さない心情だったり微妙な表情で見せる繊細な表情の表現力が凄く上手くて何回も福耳を確認して本人か疑ってしまう程にビックリしました。
元々この手の演技も上手かったのか、経験を重ねてこの域に達したのかはわかりませんが、主演の演技を引き立てながら控えめに演じる脇役の名演でレースの部分以外も全然退屈せず。
ジョン・バーンサルについて書いているレビューを見かけないので探していたら唯一、宇多丸さんが私より褒めてました笑 

映画やドラマ作品を数多く観るようになって、脚本以外の色んな部分で作品を楽しめるようになって来たのが嬉しい。

そして官僚主義との衝突がジリジリと描かれる静の部分。
ジェームズ・マンゴールド監督作は『17才のカルテ』が好きで作品鑑賞後にペーパーバック買って英語で原作読破したほど。『アイデンティティー』も好きでしたが。
中盤のもがきながら友情を育んでいく部分はもちろんマット・デイモンがハマり役で上手いのもあるのですが、苦しさをジリジリ見せるのはこの監督の得意分野だと思います。序盤から中盤まで静のドラマ部分があったからこそクライマックスの盛り上がりと切なさが染みました。

終盤レースの迫力と映像から得る体感は凄まじく、オーストラリアで速度無制限のアウトバーンを200km/h以上で走った興奮が蘇る!
逆に車で映画館に観に行かなくてよかった。きっと帰りヤバかったでしょう。
一番胸に残ったシーンはレース後にクリスチャン・ベールが一瞬間を置いて車の整備の話をマット・デイモンに話し始めたところ。泣いた。私史上歴史に残る名シーン。あの表情と職人気質の演じ方お見事でした。
熱い男の友情や商業主義との衝突を描いているだけではなく、物凄くこだわりを持って仕上げられている作品だなと思いました。

どこか懐かしい感じもする中で、劇中でもリアルでも未来を感じさせるノア・ジュプ君の颯爽と自転車を乗りこなす姿にも感服です。
素晴らしい作品でした🏎✨


●2020年150作目●
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