のん

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーののんのレビュー・感想・評価

3.8
君を、生きろ。


2019年は『アルキメデスの大戦』にルパンのフルCGアニメも控えているなどとんでもない多忙っぷりを発揮する山崎貴を総監督に迎えた『ドラゴンクエスト ユアストーリー』は往年の名作ドラクエVを原案にしたフルCGムービー。


親子三代にわたる壮大な冒険アドベンチャーを100分という短い尺でみせるために、ストーリーはかなり駆け足気味。『STAND BY ME ドラえもん』でも感じたが、ダイジェスト版を見ている感覚は否めない。


とはいえ本作はストーリーそのものに重きを置いておらず、むしろ平面でドットのゲームを立体的な映像としてどう表現するか、という技術的な難題に果敢に挑戦している。


敵を倒した時のゴールドが散らばる様子や、薬草の回復効果など文字情報がきちんと映像に落とし込まれている。長めアクションをワンカットでみせるなどアクションの見せ方も巧み。


佐藤健、有村架純に波瑠といった歴代朝ドラキャストがボイスをあてているが、圧巻はゲマを演じた吉田鋼太郎。

敵キャラとしての狡猾さ、存在感はもはや完全に魔王そのもので、本職の声優さんでも真似できない圧倒的な存在感が漂う。



ストレートな映画だと思っていると最後にとんでもないサプライズが待っていて、このメッセージをどう受け止めるか、それはまさに本作が「ユアストーリー」になっている所以だろう。
のん

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