小松屋たから

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの小松屋たからのレビュー・感想・評価

3.3
全然、観る予定の無かった作品だったけれど、あまりの辛辣な評価の多さが気になって劇場へ・・こうやって興収アップに貢献している人が他にもたくさんいそう 笑

結果、自分も、ドラクエはドラクエ。やっぱり映画で観るより、プレイした方が面白いな、と感じた(ドラクエ5は何パターンかクリアしてます)。

RPG、特に「ドラクエ5」みたいな、オンラインではなく一人でこつこつ進めるタイプの作品だと、プレイ時点での生活環境、人生経験がそれぞれ違い過ぎる。

だからダイジェスト的に映像化すると、いくらCGに磨きをかけても、長時間かけてゲームに取り組んだことがある人には必ず違和感が残る。絵柄、各キャラクターの声については、それぞれの脳内でそれぞれの残像、イメージがあるし、そもそも2時間で初回クリアできる一般人とか、まずいないので(笑)、映画の尺では物足りなくなるに決まっている。

きっと、制作サイドもそこらあたりは十分かっていて、今、「ドラクエ5」を基にした映画を創る意味を色々考えた結果があの展開だったのだ。

あまりに大勢の人が、それぞれ異なるそれこそ「ユア・ストーリー」を数十年間、抱いている場に勝負を挑むことは簡単では無い。ならば、メタフィクション要素を取り入れてちょっと斜め上からのアプローチで、というのは確かに安易に飛びついてしまいそうなアイディアだ。

制作サイドにゲーム愛が無い、とまでは自分は思わなかった。ゲームから得たインスピレーションは、実際の人生経験と変わらずかけがえの無いものだ、というメッセージは伝わったから。

でも、序盤のストーリーの端折り具合からすると、「ドラクエ5」を知らない人はほとんどターゲットにしていないように思える。であれば、わざわざファンを怒らせるようなことをしなくても。大抵のファンは、それは、きっと言われなくてもわかっているし、その指摘自体、ちょっともう古いのでは。

少なくとも、現実とゲームと映画の関り、という意味では「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の方が、同じ時代・地平に生きている人間をしっかり描いている分、特にゲームマニアというほどでもない自分にとっても感動的だったことは間違いない。