へたれ

ラストナイト・イン・ソーホーのへたれのレビュー・感想・評価

2.6
良かったとこ1 過去のロンドンへのオマージュ
本物のスウィンギング・ロンドンというよりも、ビートルズがおらずミニスカートもそんなに流行らなかった世界線で、カフェ・ド・パリを含めて当時のロンドンの雰囲気を再現しようという試みは良かった。

良かったとこ2 リズムの気持ちよさ
エドガー・ライトらしく、サントラ曲に合わせて人物の動きからネオンの点滅まで、すべて拍が合うようにコントロールしている前半は、編集のタイミングもぴったり合っていて、単純に気持ち良い。

ダメだったとこ1 第三幕の失速
第三幕になって、ストーリーもおざなり、リズム感も失われ、明らかに失速したまま終わる。前半までと同じ監督と思えないぐらい映画全体の方向感も見失って、見ていて苦痛だった。
エドガー・ライトのこれまでの作品は、ジャンル映画オマージュのコメディが多かったので、第三幕はジャンル映画的なクライマックスを踏襲して派手にやれば良かったけど、今回は初の女性主人公で、フェミニズム的なシリアスなテーマだったのに、いつもと同じやり方でまとめられるという見通しが甘かったんじゃないかと思う。

ダメだったとこ2 60年代との接点の希薄さ
主人公のエリーが60年代好きという設定になっているけど、この映画全体を通して、なぜ今60年代ロンドンを描くのかという理由は最後まで現れてこなかった。
エリーとサンディの繋がりも希薄なので、借りた部屋が事故物件だと思うなら引っ越せば良いのではと思ってしまった。

ダメだったとこ3 ジャックという悪人の中途半端さ
マット・スミスが演じるジャックというステレオタイプな悪人の扱いが中途半端。ゾンビやグールのような男たちに囲まれて彼だけが何故か生身なのはホラーテイストを削いでいるし、かといってその理由もどんでん返しのためのミスリードのようなものなので、興醒めする。
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