馮美梅

主戦場の馮美梅のレビュー・感想・評価

主戦場(2018年製作の映画)
2.0
エンターテイメントとしての作品とすればだれることもなく刺激的で楽しく観ることができる(☆4つ)。しかし、この作品を観て思い出したのが「サ・コーヴ」みたいだなと。「ザ・コーヴ」は捕鯨、「主戦場」は慰安婦。ドキュメントとしてみたらダメダメ。
私が慰安婦関連の本を最初に読んだのは16歳の頃だったかなぁ。

観る前、そういえばなんかこの作品って上映禁止にしてという騒ぎになっていたやつ?と思いだしたけど、なんで?と思ったけど、観てなるほどねと思った。

一番違和感を感じたのは慰安婦に対して片や肯定派とか言う表現。劇中、NHKのドキュメントに関して情報操作があったというシーンがあったけれど、多分この作品も同じで上映禁止を訴えている人たちも、まさか自分たちのインタビューがこのような使われ方をしてるとは思ってもみなかったのだろう。テレビにしても映画にしてもドキュメントと言っていても実際は、伝えたい人が自分が伝えたいように情報操作することは多々あること。

監督の結論ありきの中で作品を構築していくことは悪くはないのだろうけれど、何も知らない人がそれを観たとき、事実が歪曲されることはある。

元日本軍兵士という人が登場して発言していますが、それもまた彼が体験したことは事実だろう。しかし、違う体験をしている人もいることもある。私の周囲には身内も中国人や香港人の友人にしても子供のころ満州で生活していたけれど、悲惨な経験をした記憶はなく、反対に中国人も日本人も仲良く交流していたと。日本で戦時中生活をしていたけれど、やはり差別などもなく、戦争が激しくなり、家族が香港に帰国するとき、幼い女の子だけ日本に残していったけれど、日本、日本人に対していい思い出しかないとのこと。それもまた事実などである。どちらも否定することはできないわけです。

慰安婦問題にしても同じだと思う。人間は自分が正しいと思えば、どれだけ相手が事実を訴えても「いやいやいや」と信じようとしない傾向がある。明らかな証拠を突き付けても認めようとはしない。

この作品はその危うさを感じる。それが「ザ・コーヴ」と似ているのかもしれない。でもこんな風に書いたら私は右翼と言われるんだろうかねぇ~困ったもんです。
馮美梅

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