かつきよ

罪の声のかつきよのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.3
かなり良作の映画だと思います!しかし、個人の好みとはちょっと違いました
私に似た感性の方は、評価通りには楽しめないと思います。

エンタメ、サスペンス、というよりは社会派、ドキュメンタリー、そんな感じ。ちょっと、私の苦手なタイプでした。
そもそも現実の事件がモチーフになっている時点でここら辺は気づくべきだったのですが、、、。

結論から言うと、すごく良くできた映画だなとは思いました。完成度は高いです。
少々事件内容が膨大で、犯人含め関係者、登場人物が多いですが、事件に関しては要所要所で自然な流れで説明シーンを挟んでくれるので、わかりやすかったです。
登場人物もわかりやすいのですが、なにぶん数が多いので、個人的には少々疲れました。
結論、最後まで見ると、重要人物に関しては何度も丁寧に演出挟んでくれるので、勢いで見ても理解はできたと思いました。
とはいえ、登場人物が多いことには変わりなく、なるべく出てきたキャラの関係性をちゃんと理解しようと思いながら見ていると常に気が抜けず、ご飯とか食べながら見ていたら、あれ?この人なんなんだっけ、どう言う話の流れでここにきてるんだっけ?と何度か巻き戻す羽目に。それくらいサラッと話される人物とか関係性とかは重要度が低いし、仮に重要であればあとでより深く判明するのですが、それでもなるべく一回で把握したいじゃないですか!
そう考えると、情報量的にはお茶の間で気軽に、ではなく、完全に集中して見るタイプの映画。

ネタバレは伏せますが、事件の背景や真相に関しては、かなり社会派な感じ。
ドラマティックな感じはなく、衝撃の真相!!どんでん返し!予想もしなかったラスト!!というエンタメテイストではない。
むしろ、リアルにありそうなものを膨らませたタイプだなと感じました。

真相を暴くことや、その物語的な展開に重きを置いているわけではなく、事件のきっかけとなったその思想、ひいては事件によって、人生狂わされた関係者のその後の人生、心理を追っていき、そこにはなんの意味があったのか、事件の結果何が残ったのか、、、そういった根源的、心理的なドラマに重きを置いてる作品だなと感じます。本当にドキュメンタリっぽいな、と言う感じでした。
登場人物、特にげんさん演じる俊也さんの感情の変遷や葛藤の描き方は、とても繊細で素晴らしいと感じました。

話し運びに関しても、伏線どどんと張って回収!怒涛の展開!わくわく!次の展開に一喜一憂!というような感じでは全くなく、淡々と紐解いて淡々と明かされてゆく感じでした。
動き自体は絶えないので、変にダレることはないのですが、真面目な雰囲気が多く気は張りました。

キャラクターに関しては、小栗旬さん演じる記者さんが、こんな記者いないやろ!ってくらいいい人で好感が持てます。現実もそうですが、ドラマや映画においての記者やマスコミって気分悪くなる描かれ方することもザラですが、その点わかって真っ向からいいキャラクタを描いている感じ。ノーストレスで素直に好感が持てます。
げんさん演じる俊也さんも普通にいい。奥さんのみかこさんもいい。悪役除けば嫌なキャラがほとんどいないのが良かったです。

主演の2人が共闘を結ぶあたりからとても良かったです。2人の掛け合いや関係性が結構バディものとして、弱めではあると思うのですが、その分洗練されてて、好ましかったです。ラストのやりとりも好き。ちょっとこの2人にでかい感情を抱いてしまう。

テーマにしては、変な胸糞悪さはない、いい終わり方だったとは思いますが、それでもやるせなさとか切なさはどうしても消えない。
どうしようもない現実のもどかしさに、胸に少し傷が残る。そんな物語でした。。。

おっちゃんたちの関西弁がたくさん聞けたのも評価点です。重松さんとかかわいい
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