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はちどりのwoosのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
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TOHOシネマズ日比谷にて字幕版で鑑賞。
2020年新作劇場鑑賞37作目。
客席は半分の7割くらい。
テーマ「アイデンティティ」

[全体として]
凄くどうでもいいのだが、主人公は94年に14歳中2ということは俺、同い年だな。それだけでもかなりこの映画に思い入れが出てきてしまう。
お話的には強権的な家父長制が色濃い94年の韓国ソウルで、家族の微妙な不和や、少しクラスでは浮いている自分、本当は心を通わせられる人なんて誰もいないんじゃないか?などと思い悩むなんて事は多くの人が経験するような普遍的なテーマだと思う。(いや、別に経験してない人がダメだとは思わない)

[良かったところ]
この映画の凄いところは沢山あるが、まずとにかく映像が美しいところ。そして、ものすごくフェアな視点だと思う。今では多少マシになってきたとはいえ、この時代は日本でも「男は男らしく、女は女らしく」と言うような言い方がまかり通っていたし、韓国だとそれがより強烈なんだと思う。あの父親が泣いたシーンや兄が泣くシーンはそういった役割によるストレスがマックスに達している場面だと思うし、女性監督ならではの優しさによる視点だと思う。
あと、主人公の感情の揺れ動きがとても自然で、主人公のウニはあまり感情を表に出すタイプではないが、ここぞと言うときに出てくる微表情が凄い。(感情をめっちゃ出すシーンにも効いている。)
演じる役者は皆奇跡的に良かったし、主役のウニを演じたパク・ジフは今この瞬間しか出せない美しさを存分に出していたと思う。

[気になったところ]
この時代の韓国の情勢を知っていたらもっと楽しめたんじゃないかと思う。

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これが長編デビュー作のキム・ボラ監督、恐れ入りました。
オススメです。
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