ケイスケ

ブラック・ウィドウのケイスケのレビュー・感想・評価

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)
3.8
ケイト・ショートランド監督って『さよなら、アドルフ』しか観たことないんですけど、本作のようなアクション超大作に起用するとはさすがマーベル。女性の抑圧からの解放を描ける手腕が買われたのでしょうね。

孤高の暗殺者ブラック・ウィドウの前に、ある日突然「妹」のエレーナが現れる。二人は自分たちを暗殺者に仕立て上げたスパイ組織レッドルームの秘密を知ってしまったため、組織から命を狙われていた。姉妹が頼れるのは、かつて組織によって作られた偽りの家族しかなかったが、レッドルームの陰謀はこの「家族」の再会に仕組まれていた。

ディズニー配給作品としてはかなり冒険している作品だと思う。孤児の女の子を拉致して洗脳改造するのが恐ろしいし、命令を実行できずにウィドウが自害させられたりかなりキツい。あとナターシャとエレーナが子宮や卵巣を摘出された話はなかなかハード。子宮のくだりは笑い話にしていたけど説明台詞がかなりエグいですよね。

今までブラック・ウィドウはアベンジャーズの中ではどちらかというと裏方というかそこまで目立たなかったポジションですけど、エレーナという妹との絡みを描いたことで一気に本作でキャラクターの厚みが出ましたね。最初に姉妹が会うところのドッタンバッタンアクションも楽しいし、腰から机の角に当てられたり、足が変な方向で壁にぶつけたりと地味に痛そうなのもポイント。

擬似家族のメイン4人のキャラはどれも素晴らしい。カーチェイスやラストの落下などアクションは申し分ないです。ただ…ちょっとギャグが多くね?スパイアクションなので007のような皮肉の効いたユーモアはいいんですが、デヴィッド・ハーバー演じる親父のレッド・ガーディアンが笑い担当でマジで見せ場無いからガッカリ。

あと本作って画としては派手なシーンが続くんですがヒーロー映画ならではの見得切り的な決めシーンが少ないんですよね。エレーナがナターシャの決めポーズを茶化すシーンは好きなんですが、ラストあたりでナターシャがビシッとブラック・ウィドウポーズをもう一度キメると思ったんですよね。でもタスクマスターは格好いい。

MCUのフェーズ4の始まりという立ち位置ではありますが、スパイアクション映画として見ればかなり面白いと思います。シビル・ウォーを観てなくても「ああ、なんか色々とあって逃亡中の身なのね」というのは伝わるのでMCUをあまり追いかけてない人でも大丈夫かな。しかしフローレンス・ピューはどの映画でも最高ですね。今後もMCUに絡んでくるのかな。これからも楽しみです。