タイトルだけみてなんか良さそう、ってことで足を運んだのだけど、勝手に抱いていたイメージとはひと味違ってひねりの効いた美しい作品でした。映像が美しいというよりも、まずは構図が美しい。デザイン画の教科書ってこんな感じだったりするのかな?ってくらい、胸のすくような風景、建物、人物の配置。妹の料理に酒が入っていたと難癖をつける兄ふたり、カフェのテラス席を抜き打ちで検査する警察官たち、空き缶と箒でゴルフ遊びに興じる清掃員たちなど、いちいち立ち位置と動きがバシッと決まっていて謎の可笑しみがあります。ほとんど全く言葉を発しない監督自身のぼんやりした顔つきも良い。静かで美しくて余韻を残すタイプの作品でしたので、この後ぽつぽつ思い出す場面も出てきそうです。