rayconte

バクラウ 地図から消された村のrayconteのレビュー・感想・評価

5.0
怖ろしく残酷で純粋な暴力が、原始的な狂気を放つ、南米式西部劇。
こいつはヤベーブツを観た!!

物語は、ブラジル北東部の僻地に位置する小さな村「バクラウ」に住民である女性が物資を持って行く場面から始まる。
荒れた路面になぜか転がる棺桶、それを轢いても顔色ひとつ変えない運転手。
今思えば、ここで気づくべきだった。
「バクラウ」とは、何なのかを。
村は水の利権問題で市長と対立し、バクラウの存在は公的記録から消されていた。
そして、地図から消えた村に「存在しない敵」が忍び寄る。

前半部の社会派ぽい雰囲気からは到底こんな展開になるとは一ミリも思わず、飛び跳ねるくらい度肝を抜かれた!「フロムダスクティルドーン」を初めて観た時くらい大はしゃぎだ!
ブラジル/フランス合作の作品だが、このバクラウの住民は「シティオブゴッド」を彷彿とさせる無垢さをまとっている。
打算や欲求などではない、生活の一部としての暴力だ。
彼らにとってそれは衣食住と同一であり、生活の選択肢の中に常にあるものなのだ。
法治と都市生活の下にある僕にとってそれはあまりに異質な感覚であり、理屈では理解できても体が震えるのは止められない。
これらの純粋さを徹底的に貫いたことが、この作品を大傑作にしている。

また、バクラウと対する刺客もいい。
徹底的にクズ揃いで、ただ快楽のために人を殺すやつら。サルのように野蛮で見境がなく、頭もサル級に悪い。
彼らの暴力もある意味単純だが、快楽が乗っかってる分無垢とは言えない。だから結末は…。
このあたりはキリスト教感が出ていて象徴的な対比だった。

クライマックスにおけるある人物のセリフからすると、もしかして続編あるのか??
地球の反対側で待ってるぞアミーゴス!
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