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炎の裁き/疑惑の炎のkuuのレビュー・感想・評価

炎の裁き/疑惑の炎(2018年製作の映画)
4.0
『炎の裁き』
原題Trial by Fire.
フィルマークスやスターチャンネルやと『疑惑の炎』のタイトルですが、Netflixじゃ『炎の裁き』と同作品です。
製作年Netflixなら2018年、
フィルマークスなら2019年記載。
上映時間129分。

裁判での不当な判決、死刑制度の是非を問う、正義とは何か。

3人の幼い子どもを放火で殺害した罪で死刑を云い渡された男と、無実を信じるシングルマザーの姿を90年代のテキサス州で起こった実話を基に描いた米国製ドラマ。
放火によって愛する3人の子どもを亡くし、殺人の罪で死刑を云い渡された男と、無実を信じ真相究明に立ち向かうシングルマザーの女性を描く。
『ラスト・サムライ』のエドワード・ズウィックが監督を務め、オスカー女優のローラ・ダーンが真相究明に奔走するシングルマザーを見事に演じ切るってマジに演じ切ってた。

3人の娘の命が、放火によって奪われたトッドとステイシー夫婦。
ステイシーは仕事で家を空けており、トッドが3人の面倒をみてた時に起こった放火ゆえに、ポリスはトッドを放火殺人容疑で逮捕。
近所の住民の証言や火災の原因によって、トッドは死刑宣告。
それから7年後、死刑が執行されていないトッドのもとに、不当裁判の真相を究明するエリザベスという女性が現れる。

冤罪事件てのは、日本でもしばしば起こってる。
今作品の主人公(キャメロン・トッド・ウィリンガム1968年1月9日– 2004年2月17日)が実際に事件を犯したか否かは小生には分からない。
しかし、少なくとも資料を読む限りは裁判が公平に行われたとは云えないし、有罪判決の正当性と放火と殺人の有罪判決に使用された証拠の解釈について重大な誤りは見受けられます。
この冤罪事件とは、刑事事件で逮捕起訴され有罪が確定した犯罪者のうち、実際には真犯人ではなかったんじゃないかと、被告人または受刑者本人が無罪を主張し、また社会的にも冤罪が指摘されている事件のことで、
日本において、冤罪じゃないかとされるのは幸徳事件‎や狭山事件‎、帝銀事件‎ などなど挙げれば枚挙に暇がない。
また、確実な証拠がないにも関わらず民意の事件の終熄を望む声を酌んでかフェアな裁判が行われなかった和歌山毒物カレー事件。
主犯とされる共犯者のあってはならぬ司法取引(表上はないが)があって共犯者から主犯となったとされ、死刑判決が下り執行を待つ、埼玉愛犬家連続殺人事件などなど。
小生は、愚詩を詠むのですが、ある雑誌からの要望で愚詩を寄稿した関係で、上記の冤罪を訴える方たちから数名手紙を頂き、手紙のやり取りをしていた。
それまでは気にも留めなかった司法を、死刑囚との手紙のやり取りを始めてからは注意して見るようになりました。
それで思うのは、文明の進歩スピードと司法の制度の進む度合いがかけ離れていると云う事です。
それまでは、守ってくれる存在と信じていた司法が何かしら(一部ではあるとは思うけど)、どす黒い闇を持ってるのを感じたのを今でも覚えてます。
そんな闇の一つが冤罪で、仮に1万分の1の確率で冤罪が生まれたとしたら(軽犯罪を含め)、ポリスや検察は良くやってると対岸の火事なら喜べる。
しかし、大切な人や、ましてや自分の身に降りかかった厄災ならどうかなぁと。
たしかに、日本においては冤罪を晴らした暁には国への賠償責任を問えるが、拘束されていた日数1日あたりにつき1,000円~12,500円を、国が支払うということが『刑事補償法』で定められてる。
しかし何故、1,000円~12,500円と差があるのか、命や人生の価値は皆平等だと謳う国が差をつけることに憤りすら感じます。 
事故の生命保険支払い金額でも然り。
また、不自由と不名誉、ましてや命をゼニでかえれるはずはない。。。
今作品は、今後のニュースを待つばかりですが、小生は冤罪事件はもはや他人事とは思えない。
今作品は、実際に起こった事件を基にしてるとのことなので、個人的に注視して観ました。
まぁほんと俳優陣の演技は注目すべきものであり、特筆すべきものでした。
ローラ・ダーンの演技は、夫婦同様、格別なモンやった。
また、控訴弁護士役のデビッド・ウィルソン・バーンズは、死刑囚事件における控訴制度の難しさを実感させてくれましたし、登場人物には説得力があり、ストーリーに引き込まれました。語りがいのあるストーリーではあるけど(長くなりましたので割愛)心がとても痛み、死刑は議論に値するテーマやと思います。
しかし、賛否両論あるので、観てる側がこの問題にどのような立場をとっているかによって、この映画の個人的な感想に影響を与えるとは思います。
見る価値はありますが、ショッキングなシーンがありますのでご注意を。

余談ばかりですが、トッドの元妻であるステイシー(ウィリンガム)・カイケンダルは、著名な科学者や専門家(特に放火に関する世界有数の専門家であるハースト博士)が否定できない冤罪証拠を提示しているにもかかわらず、アンバー、カーモン、カメロンの3人を殺害したのは彼だと信じている。
現在も彼女は証拠を否定し続けており、本作で煮えきらん保身元嫁として描かれていることに異議を唱えている。
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