晴れない空の降らない雨

センコロール コネクトの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

センコロール コネクト(2019年製作の映画)
3.0
 監督のほぼ一人制作。というと自分みたいなニワカは新海誠がまっさきに浮かぶが、新海みたいに突き抜けた作家性はない。むしろ凄まじい既視感、それも10年以上前のモードでは。と思ったら、前半部分の発表は2009年だった。あまり嬉しくないドンピシャ。あとなんかカット割りが漫画的。と思ったら、デビューは読み切り漫画だった。そしてやっぱりのアフタヌーン。分かりやすすぎ。
 当然、金銭的・時間的問題からかなりの省力化が図られており、動かない時はとことん動かない。また背景はとくに顕著でインディーゲームでたまに見かけるデジタルなチープさがあるのだが、それがラノベ的脱力系男子高校生の主人公や、彼ら自身ではなくナゾ生物を操って戦わせるポケモン式(今はFGO式と言うべきか?)アクションや、ゴーストタウンのごとく人気のない都市や、そのド真ん中に爆弾落とす割に真剣に退治する気があるとは思えないナゾ軍隊等々……のリアリティの欠如と素晴らしくマッチしている。こうして2000年前後っぽい、あの浮遊感ないしはバーチャル感が醸成される。
 とはいえ、最初に書いたように別に独創性はないし、こういう作風を得意とするスタジオもあるわけだし、別に一人で幾星霜もかけて作らなくてもよくない、これなら、と思ってしまいました。

カットでキャラが同じポーズのまま瞬間移動する。単に移動の描写が省略されただけだが、そこにはどうしても作為的な印象がともなう。つまり我々が何となく観ている映像に唐突なことが生じ、編集されたものであることが主張される。これも本作のバーチャルリアリティめいた雰囲気を強めている。