晴れない空の降らない雨

鶏の墳丘の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

鶏の墳丘(2021年製作の映画)
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 中国人の個人制作長編アニメーション。かなり難解というか理解不能だったが、そこが良かったとも言える。というのも、インディーズやインディペンデントの作品を観ても、中途半端にエンタメに寄せていたり、メッセージ性が分かりやすすぎて、ちょっと白けることも多いからだ。
 
 その点、本作はひとつの筋や意味を見出そうとする観客の努力をひっきりなしにかく乱する。もっとも、露骨に分かりやすい時もある。例えば、映画の途中で「ミニドラマ」と称して挿話が何度かあるが、そこでは向かい合ったカップルがスマホで会話していたりする。これは明らかに社会風刺だが、同時に明らかなパロディだ。「ミニドラマ」として劇中劇化しているのもそうだが、そもそも登場人物はみな「人間のフリをしたロボット」なのだから。
 
 そのロボットたちは、和製アニメの美少女キャラを下手くそにまねたような顔を貼り付けている。最初は派手にドンパチをやっているが、いつの間にか銃撃戦は止んで、話とも言えない話が展開されていく。キャラクターの動きも、背景も、サウンドも非常にチープで、紛い物めいている。