晴れない空の降らない雨

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

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 どんどん暗くなっていく原作の地味というか回りくどいところを、巧いこと単純化して映像に落とし込んでいた点を評価したい(ハリーに俺様が乗り移ろうとする所とか)。新しい魔法生物のセストラル、新しい舞台の魔法省内部のビジュアルもすばらしく、ルーナ・ラブグッドの役者も良かった。そして最後の神秘部の戦いは、原作とはだいぶ展開が異なっているが、死の間で仲間が全員人質になってハリーを取り囲んでいる構図なんかは、映画らしい良アレンジだったかな。でも校長と俺様の一騎打ちは、結局ビームぶつけ合っているし、これならもっと原作を踏まえたほうが格好良かったと思う。
 
 恋愛模様についてはチョウ・チャンが原作より可哀想な役回りに。というか見てくれがイマイチだから当時から批判され、役者も傷ついただろうな。なかなか英語圏で中国(東アジア)系の若い女優というのが、選択肢限られてくるのかもしれない。しかも、悲しい現実として、英語圏におけるアジア系俳優の需要って顔にはないだろう(むしろブサイクの方が好まれるまでありそう)。
 あとジニーがハリーを気にしている描写は、原作読んでいないと気づかないレベル。この巻はハリーがクィディッチを禁止されて代わりにジニーが選手になるなど、それなりにジニーの出番があり、次巻の布石になっている。しかし映画ではクィディッチそのものがオミットされたことで、映画しか観ていない人はジニーの存在なんて忘れているのでは。まぁ仕方ないね。