だいぶ前に『男と女』を観たが、ストーリーはほぼ記憶にない。ふたりがひたすら抱き合うモノクロシーン、ダバダバダのテーマ曲。イメージ映画のようなお洒落な映像。
アンヌと介護施設にいるジャンとの50年ぶりの再会。
施設と言っても悲壮感は全く無く、カラッとしてて明るい。まるでヨーロッパの陽光のよう。
二人の会話がゆっくり進んでゆく。
間や余韻がとても心地よい。
アンヌ演ずるアヌーク・エーメはお年を召したと言えども、やはり“ザ・仏女優”。華があり雰囲気がある。話し方も穏やかで魅力がある。髪をかきあげる仕草も色っぽい。
ジャンも、どこか憎めないイケオジイ。
若い女医にはいつもの決め台詞。『まだオレと寝ないのかい?』
『お父さんはどこか人を食ったところがありますね。本当は認知症じゃなく演技なのかも、、。』
アンヌとジャン、それぞれの子供も当時と同じ俳優だと知り、ビックリ。
アンヌは地に足が着いており、生活者になった。
『逃避行はもう出来ないのよ。』
全編、過去や現在の風景や映像がひたすら美しい。
若いふたりが見つめ合ったとき、ただ笑顔になる。
ジャンは沢山の女性を愛したけど、やはり最愛の人はアンヌだった。
アンヌはどうだったんだろう。
自分の人生を振り返った時、心から愛した人はやはりあの人だった…。
そんな相手をパッと思い浮かべることができたなら、とても幸せで豊かな人生だったんじゃないでしょうか。
エンディングの広大な大地と夕陽、素晴らしかった。