新潟の映画野郎らりほう

朝が来るの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.4
【屹度 朝は来る】


佐都子/清和/朝斗の親子三人が 揃ってマンションを後にする。
その直後、無人となった屋内に電話の着信音が響き渡る。
まるで、伽藍堂と為った自身の胎内に、我が子を探し求める母親の痛切な叫びの様に―。


成島出「八日目の蝉」で、森口瑶子に『お前は伽藍堂の女だ』と吐き捨てられていた永作博美を想起し 戦慄する ― 共振/“繋がっている”のかと。



何処かに朝が訪れるとゆう事は、別の何処かで陽が沈むとゆう事。慶びの一方で 悲しみに打ち拉がれる者がいるとゆう事。
だからこそ言いたい ― であるなら、であればこそ、どんなに夜の闇が深くとも 屹度 朝は来ると―。

「この海は広島の海と“繋がっている”」ー 遠く見ず識らず全く異なる地でも 実は密接に関連し作用し合っている。絶望と希望は 完全に分断されたものではなく、シームレスに“繋がっている”。
絶望の直ぐ傍に 貴方宛ての希望は届いている。


哀しみの涙が 嬉し涙へと―。
そのシームレスな表情に、悲喜哀歓が溢れてくる。




《劇場観賞》