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ソウルフル・ワールドのTBearのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.3

2024年8本目。試写会にて。

人生について考えさせられる物語。生きる目的、夢、それよりも大切なものが人生にはある。

中学で音楽の非常勤講師をしているジョー・ガードナーには夢があった。それはジャズ・ミュージシャンになること。

まだ彼は夢を諦めていなかったが、中学校の正式な音楽教師の打診が。このまま中学の音楽教師として一生を終えるのかと思っていたところに、思ってもみなかった話が舞い込んで来る。

それは、有名ジャズ・ミュージシャンのドロシア・ウィリアムズのバンドで演奏するチャンス。

試しにウィリアムズと共に即興のジャズ・セッションをするジョー。今まで誰の目にも留まらなかったジョーのジャズの才能がウィリアムズの目に留まり、その夜ジョーは彼女と共にコンサートで演奏をする事になった。

ずっと叶わなかった夢への扉が突然開いて夢心地になっていたジョーは、蓋の開いていたマンホールに落ちてしまう。

落ちたその先に待っていたのは、"あの世"に続く道。まだ死ぬわけにはいかない。一刻もはやく元の場所に戻りたいジョーが必死にあがいていると、"あの世"ではなく、ソウルが"この世に生まれて来る前の世界"に迷い込んでしまう。

そこは、生まれる前のソウルたちが"人生のきらめき"を見つける場所。きらめきを見つけたソウルは、この世に生まれて来る。

ひょんなことから、ジョーは生まれる前のソウルに人生について教えるメンターとなる。ジョーが担当することになったのは、ソウルの世界の問題児22番。何百年もの間この世に生まれることを拒み、数々のメンターの手を焼かせて来たソウル22番。

ソウル22番と過ごすうちに、ジョーは元の世界に戻る活路を見出すが…

ピクサー作品は、毎回こう着地して来るのかと思わされるところがあります。

アインシュタインもリンカーンもマザー・テレサも世話を焼いたソウル22番の心が揺り動かされたのは、まだ夢を叶えていない、功績を残していない名もなき一般人。

生まれて来る前に生きる意味を見出して、人は生まれて来る…わけではない。人間皆に大層な夢や大きな目標があるわけではない。そんなものは無くても、人生は素晴らしく尊いもの。"きらめき"は日常に転がっている。

一度スマホの画面で鑑賞していましたが、改めて大画面で観るとぐっと来る。何度も目頭が熱くなりました。本当に素敵な作品です。

ゾーンに入る、アストラル、フラワーオブライフ?のようなものも登場するので、そんなオカルト的な要素も楽しめます。

迷子のソウルなど、恐怖を感じる…小さい子どもが見るとトラウマになりかねない要素もあり、単なる心温まるお話ではないところも好きです。

にしても、ソウルの数を勘定してるテリーあほ過ぎない?笑

浜野謙太さんと川栄李奈さんは、何も知らずに最初観た時は俳優さんの吹替だとは全く思っていませんでした。めちゃくちゃ自然過ぎる。

コロナの影響で劇場公開されなかったピクサー作品たちが、劇場のスクリーンで観られるのはとても嬉しいです。短編が同時上映されるのも良いですね。
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