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カラーパープルのTBearのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.1
2024年2本目。ジャパンプレミア試写会にて。

心優しい少女は、数えきれない理不尽を乗り越えて、奪われた人生の時間を取り戻していくー

1985年に同名の小説が、スティーブン・スピルバーグ監督で一度映画化されている作品。こちらはミュージカルでは無く、同名小説がブロードウェイでミュージカル化されたものを、映画化したのが今作の『カラーパープル』。日本でのミュージカル公演は無いため、日本人にはあまり馴染みの無い作品かもしれません。

舞台は1900年代初頭のアメリカ。黒人女性は奴隷のように扱われていた。主人公セリーは、度重なる父の虐待に苦しめられていたが、妹ネティーの存在が彼女の心の支えだった。どんな辛いことも2人で乗り越えて来たが、ある日2人は生き別れに…

10代にして望まぬ結婚をさせられたセリーは、夫から暴力を受け続け、逆らわずに生きて来た。そんな人生の中で、セリーは虐待や暴力や黒人差別などの理不尽に立ち向かいながら生きて行く強い女性たちと出会って行く。

暴力による支配はセリーを完全に無気力にさせてしまったが、徐々に友達に影響されてセリーの心も変わって行く。散々虐げられて来たセリーが、失われた人生の時間を取り戻して行く。

この作品は上映時間141分。その大半で、セリーは数え切れない理不尽に苦しめられる。でも、それを乗り越えた先に、掴み取れるものもある。

上映中何度か泣きました。楽曲もパワフルで魅力的なものだらけで、歌だけでなく、ミュージカルならではのダンスで画面に釘付けになる。

最初は、作品の陰鬱な空気に苦しくなるけど、徐々に希望が見えて来て、セリーに感情移入しました。

鑑賞後には、良質なミュージカルを舞台で観たような感覚になります。まだ1985年版の方を観られていないので、観て比較したいです。
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