ペコリンゴ

ワサップ!のペコリンゴのレビュー・感想・評価

ワサップ!(2005年製作の映画)
3.4
記録。
駆け抜ける疾走感。

デビュー作『KIDS』から10年後のラリー・クラーク監督作。本当ストリートとキッズたちを収めるのがお上手やね。

本作の主人公はロスのサウスセントラルに住むラテンアメリカンの少年たち。またしてもプロの俳優ではない。ラリーは本作制作前に2年間彼らとの時間を過ごし、その後も主役格の少年とは親友のような関係を保っているらしい。とんでもないコミュ力。どんなオッサンだ(笑)

少年たちは長髪で体にフィットするTシャツやジーンズに身を包み、スケボーで街に出る。黒人にロックスターだゲイだとディスられても、それが彼らのスタイルなのだ。BLMが叫ばれる昨今だが差別的扱いを受けるのは何も黒人だけではないというのは見逃せない。

ドキュメンタリータッチな日常系故に、あるようで無いようなストーリーではあるものの、大枠はゲットー育ちの少年たちがスケボーでビバリーヒルズの高級住宅街に繰り出すというもの。

見るからにお金持ちの家に育った少女たちに逆ナンされたり、現地の警官に理不尽な尋問受けたりとなんやかんやあるんだけど、隣り合わせの死に晒されていてなお生を享受しているかのような少年たちは羨ましい気もする。

生まれは選べない。
でもそれに不平不満を言うことも無い。仲間がいてスケボーとパンクがある。それで充分なのだから。