優しいアロエ

フォロウィングの優しいアロエのレビュー・感想・評価

フォロウィング(1998年製作の映画)
3.6
「薄味のメメント」「易しいメメント」とでも呼びたい、ノーラン監督のフィルム・スタイルの片鱗が見える秀作。

『メメント』を観ていたので主人公の見た目から仕掛けに気づいたものの、それでも頭がこんがらがるほど盤根錯節にパズる本作。ストーリーにフォロウィングするのがやっとである。

『メメント』に比べれば、キャラは個性的で興味深く、引き立っていた印象。主人公が『ファイト・クラブ』のエドワード・ノートンに見えてしまい、つまりは自分と重なってしまった。

逆に、『メメント』よりもラストのカタルシスは控えめといった印象。せっかく難解なパズルを解いたのだから、息を飲むような絵を見せてほしかった。また、「尾行癖」という面白そうな設定が泥棒コッブとの出会い以降あまり活きなかったのが残念。なんならコッブのキャラクターに主人公が押されてしまっていた。

ただ、ノワール調な雰囲気はすごくよかった。物書きが主人公ということで『サンセット大通り』も想起。モノクロであることも作品に合っていた。
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