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4×4 殺人四駆のHKのレビュー・感想・評価

4×4 殺人四駆(2018年製作の映画)
3.3
ある車上荒らしの男が自分が盗みを働いた車に閉じ込められて出られなくなる話。
原題は“4×4”で車の4WDのことですが、邦題に“殺人四駆”がついているせいで、まるで『クリスティーン』や『ザ・カー』みたいに車が人を襲うホラー映画と勘違いしそう。
でも本作には車に憑依した怨霊や車型モンスターは出てきません。

実はこの路上駐車した車、何度も盗みの被害にあったこの車の持ち主が仕掛けた罠であり、一度入ったら出られない、さしずめ車上荒らし専用ゴキブリホイホイ。
防弾・防音・遮光ガラスの特別使用車で、中から助けを求めても声や音は一切外に漏れず、だんだんと食料や水も尽き、主人公の車上荒らし男は地獄を味わうことになります。

本作はアルゼンチンとスペインの合作、監督はシニカルな名作『笑う故郷』『コンペティション』のコンビ監督、ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーンのうち今回は後者コーンの単独監督(脚本はこの二人)。
車上荒らしを『エル・クラン』の長男役だったピーター・ランサーニ、車のオーナーには『笑う故郷』でもおぞましい役だったダディ・ブリエバが演じています。

最初は悪い車上荒らしをこらしめてスッキリする映画かと思ったら、仕掛けた車のオーナー側の私的制裁がだんだんとエスカレートしていき、一筋縄では行かない展開に。
出所すればまた犯罪を繰り返す犯罪者を警察に突き出す意味があるのか、そんな犯罪者は殺されても仕方が無いのか・・・

犯罪率の高い南米アルゼンチンでは現実に犯罪者VS自警団の争いが激化しているらしく、自警のためなら犯罪者をどう扱ってもいいのかが観る側にも問われる作品だとも言えます。
しかし、この車上荒らしもかなりの悪人だし、車のオーナーによる私刑も行き過ぎているため、どちらにも感情移入できないし、そのせいでラストもスッキリしないのがちょっと残念。
HK

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