溌溂とした邪悪さで誰かの日常に土足で踏み込む者がいる。
不埒な干渉を繰り返し傷口をえぐり泥を塗りたくる。
虐めという行為そのものがどれほど愚かなものか気づきもせずに。
醜い者の心はどこまでも醜いまま。
それでも自分自身の夢の為に歯を食いしばる少女。
本来なら邪魔されるべきではない毎日を悪戯に踏みにじられる。
なぜ傷つけられなきゃいけない?
冷静を装っていても心の中は悲鳴をあげ続けているのに。
誰か…たすけて…。
粗野な少年は前触れもなく現れた…。
いつしか自分が誰かの希望になることも知らずに。
彼女は本気でたすけてほしいと願った。
他の誰でもない…彼に。
彼は本気で救いたいと思った。
他の誰でもない…彼女を。
恋と呼ぶにはあまりにも乱暴で。
愛と呼ぶにはあまりにも儚くて。
どんなに汚されても美しい心を持つ者たちは変わらず美しいまま。
まるで約束されたようにふたつの魂が呼応しあうとき…。
「君は世界を守れ。俺は君を守る。」
少年の覚悟と少女の秘密が静かに動き出す。
ふたり 対 世界。
今…悪意に満ちた日々に傷だらけのファイティングポーズ。
涙でにじむ流星雨の真下…博打のようなかりそめの明日を描く。